クゥワイ・サムナン

Love of the Land

Popil 2018 Two-channel HD video, color, sound, 21’59” looped ©Khvay Samnang

この度小山登美夫ギャラリーでは、国際的に活躍するカンボジアのアーティスト、クゥワイ・サムナンの個展「Love of the Land」を、六本木、天王洲の2箇所で同時開催いたします。

六本木では2018年「Popil」(ポピル)の写真・映像作品、天王洲では2021年「Calling for Rain」(コーリング・フォー・レイン)の映像作品を展示。
両作品とも、日本での初公開です。

【クゥワイ・サムナンについて
ーカンボジアの現状を、皮肉と、軽快さとユーモアで問題提起する
前回、今回のドクメンタにも参加した、カンボジアの国際的現代アーティスト】

クゥワイ・サムナンは、1982年カンボジア生まれ。2006年プノンペンの王立芸術大学を卒業。アーティストコレクティブ「Sa Sa Art Projects」のメンバーとしても活動しています。

サムナンは作品制作において、カンボジアの社会的な深刻な問題を、現地で時間をかけて徹底的に調査、ヒアリングを重ねます。

そして歴史に対して新たな解釈を示しつつ、土着な素材を用いた立体、インスタレーション、ビデオアート、自らの身体を用いたパフォーマンスなど、様々な方法で皮肉に、軽快に、ユーモラスに多層な意味を込めて表してきました。

「Untitled」(2011)では、幼い頃遊んだ湖が、富裕層のための開発で埋め立てられて荒廃し、多くの住民が追い出されたことを憂い、自らが湖に入って砂を被る様子を撮影。

プノンペンの路上床屋の髪で制作した牛角をかぶり、リアカーを引き、浅草でカウタクシーとなるパフォーマンス「Cow Taxi at Asakusa」(2010)。
カンボジアの新年に動物に扮し幸福をもたらす伝統舞踊を参考に、トーキョーワンダーサイトでのレジデンスと日本への感謝を表しました。

また、カンボジアから輸入した砂で埋め立てたシンガポールのビーチで、出会った人々と楽しむ様子を表した「Enjoy My Sand」(2013-2015)など、
カンボジアの若い世代らしい、クリエイティブで刺激的な問題提起は、各地で大きな話題を呼んでいます。

アーティストとしての国際的な活動は特筆に値し、2015年パリのジュ・ド・ポーム現代美術館、ボルドー現代美術館CAPC 、2018年ミュンヘンのハウス・デアクンストでの個展や、2017年、2022年(Sa Sa Art Projectsのメンバーとして) のドクメンタなど、世界各地で様々な展覧会に参加。

今年2022年10月6-16日に開催される和歌山の「紀南アートウィーク2022」にも参加します。作品はオーストラリア国立美術館、シンガポール美術館、KfW(ドイツ復興金融公庫)財団などに収蔵されています。

より詳しい作家説明はこちらをご覧ください:http://tomiokoyamagallery.com/artists/khvaysamnang/


【サムナン作品の背景
ーカンボジアの凄惨な歴史と、現在の天然資源の搾取、環境汚染】

サムナンの作品には、カンボジアという国の歴史や現状が大きな背景となっています。

カンボジアでは、1975年からの4年間、ポル・ポト政権下で自国民が何百万人も虐殺され、宗教や教育が否定され、文化遺産が破壊される悲惨な時代がありました。その影響で現在国民の約半数が30歳以下、国民の平均年齢は23.9歳だといいます。

近年は若い労働力をターゲットに、中国など外資からの投資で急激な高度成長を遂げましたが、それにより、天然資源の搾取や、環境汚染が拡大しており、一方でいまだに多くの人々が貧困に苦しんでいます。

サムナンはあるインタビューで次のように語っています。
「発展途上国は、環境問題について大きな問題を抱えている。私は疑問に思う。発展とは何のためなのか、誰のためなのか?」

【本展「Love of the Land」、および出展作に関して
―大地を愛し敬意を表す】

六本木での出展作「Popil」は、2018年ミュンヘンのハウス・デアクンストでの個展時に制作された立体作品、写真、ビデオ作品です。

「Popil」とは、元々カンボジアでの成人式、結婚式、葬式で行われる儀式の名称。

作品には、前回のドクメンタ出展作「The way of the spirit」に続き、蔓性の龍のマスクが象徴的に現れます。
マスクを被ったクメール舞踊ダンサーが2人、2匹の龍としてそれぞれのシーンに応じて、漁師、ダム決壊に苦しむ人などを演じながら、求愛や、緊張や闘争を示唆して華麗に舞い踊る。

それらは象徴的に中国とカンボジアをも表し、円を描く踊りの動きは大河の流れを表しつつも、複雑に絡み合う両国の関係性が感じ取れるでしょう。

天王洲の映像作品「Calling for Rain」は、2021年ナショナル・ギャラリー・シンガポールのチルドレンズ・ビエンナーレの際のコミッションワークとして制作された、サムナンの最新作です。

ヒンドゥー教の聖典「ラーマーヤナからインスピレーションを得たストーリーで、猿のキリは住む森が破壊され、家がなくなってしまいますが、次第に、森や川が荒らされるのは、火の龍アキの無責任な行動から来ていることがわかり、、
キリは力を奮い起こし、友達や愛する魚のコンキーの助けを借りて、火を止め、雨を降らせるために叫び声をあげます。それにより火の龍アキにも変化がおとずれるのです。

サムナンの作品は、カンボジアの現状を通して、私たちにも通じる普遍的な問題、新たなアプローチで未来への提言を投げかけます。
あらゆる出来事は、様々な側面を持ちます。私たちの土地にいまなにが起こっているのか?全ては「Love of the Land」、サムナンの大地、地球への愛や敬意から起こる問いかけであると言えるでしょう。
この貴重な機会に、ぜひご覧ください。

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プレスに関するお問い合わせ先:
Tel: 03-6459-4030 (小山登美夫ギャラリー オフィス)
Email: press@tomiokoyamagallery.com
(プレス担当:岡戸麻希子)
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