オノ・ヨーコ

オノ・ヨーコ展「硝子の角」

オノ・ヨーコ Yoko Ono “KEYS TO OPEN THE SKIES”, 2016, Glass, Background: 19.1 × 25.4 × 1.9cm, Keys: 11.4cm, ed. 6 © Yoko Ono

〈作品紹介〉

1950年代以来オノ・ヨーコは、鑑賞者の想像力を解放させ、行為を触発し、政治や社会の矛盾に切り込むような作品を発表し続けています。その表現形式は美術、音楽、映像、パフォーマンス、詩と幅広く、フルクサス、コンセプチュアルアート、ヴィデオアート、フェミニストアートなど、重要な芸術運動にも多くの影響を与えています。

特にオノは独自の詩のあり方によりコンセプチュアル・アートの先駆者として、現代社会の深刻な課題に対して、ユーモアをも含んだ思索的な表現で世界中に発信してきました。それらは、外部からの攻撃に屈せず、社会の規範や固定された価値観へ疑問を投げかけるオノの揺るぎない意思によって生み出されてきたのです。また生と死は人間の根源的運命という、実存的視点から見つめる表現により、彼女の作品は社会が変化を迫られる時に未来への力や希望を与えてきました。

たとえばオノは自身の芸術的創造に関して、1966年のテキスト<ウェズリアンの皆さんへ>において「外の沈黙に通じるための内的沈黙を必要とする」一種の音楽であると述べ、彼女にとっての唯一存在する音楽とは、思考する「心の音」であり、彼女の作品は、他の人々の心の中に鳴っている音楽を引き出すためにあるのだと語っています。

また、美術評論家の松井みどりは、90年代以降の作品に対して次のように評しています。

「こうした一連の作品は、死と再生の循環のヴィジョン、個人の運命と人間全体の運命の繋がり、苦しみを通した希望の強化といった対立する両極の葛藤から人生の真理を汲み取ろうとするオノの姿勢を示している。」
(松井みどり「心の壁、光の奥:オノ・ヨーコの実存的アレゴリーと『灯への道』」、『灯 あかり オノ・ヨーコ』小山登美夫ギャラリー、2013年)

美術評論家のジェリー・ソルツはNew York Magazineのレビュー記事で、2015-16年にNYのGalerie LelongとAndrea Rosen Galleryで同時開催された個展「THE RIVERBED」について、以下のように評しました。

「・・(中略)彼女の作品は、言葉で趣を添え、詩的かつ感傷的な望みを込めたミニマリズムとして、私に衝撃を与えた。この二つの展覧会は、オノが鑑賞者に壊れたカップやソーサーを元通りに組み立て直してもらう事で、素材の持つ力強さを感じさせ、また物を壊し人々にそれらを再び組み立てさせるというオノの素晴らしい表現を見る事ができる。それは『ヒーリングミニマリズム』と呼べるものだ。」

オノ・ヨーコは長年にわたり、常に自分が感じた事に耳を傾け、現実社会のかすかな気配を聴きわけながら、作品制作と観客との出会いの中に真実や希望を見いだすべく表現、探求し続けています。

〈展覧会について〉

本展「硝子の角」は、小山登美夫ギャラリーでは5年ぶり2回目の個展となります。鍵、ハンマー、シャベルをモチーフとした、2014-16年制作のガラスのエディション作品と、2003年パリ市立近代美術館で行われた個展「Yoko Ono Women’s Room」にあわせ出版された書籍「Spare Room」のテキストを、障子を用いたインスタレーションで構成致します。心に感じた想い、想像上の出来事、そして実際の体験を基にしたオノの短いテキストが空間全体に広がり、ガラスの作品とともにオノの世界観をご堪能いただける展示となります。

オノは1972年「ナウ・オア・ネヴァー」の中で次のように語っています。

「ひとりでみる夢はただの夢
 みんなでみる夢は現実だ」

オノ・ヨーコの新しい表現に出会いに、是非お越し下さい。

作家プロフィール

オノ・ヨーコ

オノ・ヨーコは1933年東京生まれ。幼少期より自由学園にて、生活と芸術を分ける事のない音楽の早教育に接し、終戦後学習院女子部に入学。1952年には女子学生として初めて同大学の哲学科に入り、マルクス主義と実存主義に強い影響を受けました。1953年家族とニューヨークに転居し、サラ・ローレンス大学に入学。音楽と詩を学び、ニューヨークの前衛芸術の中心的な存在として活動。1962年に東京に戻り、青山の草月会館で作品を発表。その後世界中で展覧会やパフォーマンスを行い、オリジナルな作品を発表し続けました。
1990年代に入ると自身に関わる様々な暴力と、世界に起きた戦争などの暴力の記憶が交差するようなテーマを掘り下げ、現在ではインターネットを通して数多くの人と交信し、世界中にメッセージを発信し続けています。

これまで世界中の美術館で数多くの展覧会を行っていますが、近年の大規模な個展としては、2015年ニューヨーク近代美術館での「Yoko Ono:One WomanShow, 1960-1971」、2015-16年東京都現代美術館「YOKO ONO: FROM MY WINDOW」があり、共に大きな反響を呼びました。その他の主な展覧会として、2000-02年にNYのジャパン・ソサエティーが企画した回顧展「YES オノ・ヨーコ」展は北米6都市を巡回し、アメリカ美術批評家国際協会のNYでの最優秀美術館展賞を受賞。その後2003-04年アジア巡回、東京都現代美術館、水戸芸術館現代美術ギャラリー、広島市現代美術館など日本の5都市を巡回しました。

2011年には広島市現代美術館において、第8回ヒロシマ受賞記念オノ・ヨーコ展「希望の路 YOKO ONO 2011」、小山登美夫ギャラリーにて初めての個展『灯』を開催。2012年にはロンドンでの初の個展「Yoko Ono: TO THE LIGHT」がサーペンタイン・ギャラリーにて、2013年には回顧展「Half-A-Wind-Show」がドイツのシルン美術館を皮切りに、スペインのグッゲンハイムビルビオ美術館、ルイジアナ近代美術館を巡回。最初の1ヶ月で3万人を動員し話題となりました。2009年ヴェネチア・ビエンナーレで金獅子賞生涯業績部門受賞。2016年5-6月に、小山登美夫ギャラリーでは2011年に次ぐ個展となる「硝子の角」(北参道)、「見えない花」(8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery)を同時開催致しました。

  • Installation view from "Garasu no kado" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2016 © Yoko Ono photo by Kenji Takahashi
  • Installation view from "Garasu no kado" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2016 © Yoko Ono photo by Kenji Takahashi
  • Installation view from "Garasu no kado" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2016 © Yoko Ono photo by Kenji Takahashi
  • Installation view from "Garasu no kado" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2016 © Yoko Ono photo by Kenji Takahashi
  • Installation view from "Garasu no kado" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2016 © Yoko Ono photo by Kenji Takahashi
  • Installation view from "Garasu no kado" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2016 © Yoko Ono photo by Kenji Takahashi
  • Installation view from "Garasu no kado" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2016 © Yoko Ono photo by Kenji Takahashi
  • Installation view from "Garasu no kado" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2016 © Yoko Ono photo by Kenji Takahashi
  • オノ・ヨーコ Yoko Ono "Glass Hammer", 1967 / 2014, Glass, 22.9 × 11.4 × 1.9cm, ed. 6 © Yoko Ono
  • オノ・ヨーコ Yoko Ono "A CLOUD SHOVEL", 1971 / 2015, Glass, Overall Dimensions: 17.8 × 17.8 × 30.5cm, ed. 6 © Yoko Ono
  • オノ・ヨーコ Yoko Ono hammersmith 2016 glass hammer: 21.6 x 12.1 x 2.5 cm; base: 19.1 x 25.4 cm ed.6 © Yoko Ono
  • オノ・ヨーコ Yoko Ono Painting to Be Stepped On 1988 Bronze 45.7 x 35.6 x 3.8 cm ed. 6/9 © Yoko Ono
  • オノ・ヨーコ Yoko Ono Forget It 1988 Bronze base : 24.0 x 23.0 cm; needle : 6.0 cm ed. 2/9 © Yoko Ono
  • オノ・ヨーコ Yoko Ono Disappearing Piece 1988 Bronze ed. 4/9 3.2 x 17.8 x 10.2 cm © Yoko Ono