» 作品紹介
菅 木志雄は、1960年代終わりから70年代にかけて日本美術界を席巻した「もの派」と呼ばれる潮流の代表的作家のひとりです。
多摩美術大学で教鞭を取り始めた斎藤義重に学んだ菅は、木材や、石、金属片、ガラス板などの素材を展示空間に配置し、ものと身体、ものと空間、中心と周囲、といった我々の先入観を根底から覆します。
「ニンゲンのまわりにあらゆるものがありながらいかなる<カタチ>も存在しない。<カタチ>がなければ、なにもみることがない。ニンゲンが欲するとき、<はじめて><カタチ>がみえ、認識される。<カタチ>はニンゲンの意識の流れにあり、必要に応じて、<カタチ>となり、外の世界でみえる。」(菅木志雄)
理論に偏らず、制作過程において常に身体が介在している菅の作品は、「ものとは、作品とは、こうしたものだ」といった、象徴化を求める我々の視線を絶えずかいくぐり、最もラディカルなアプローチを仕掛けてきます。こうした思考は90年代以降、国内外の様々な展覧会によって紹介されています。
菅の作品は1995年、岐阜県美術館から全国へ巡回した「1970年 ─ 物質と知覚 もの派と根源を問う作家たち」、また2005年国立国際美術館で行なわれた「もの派 ─ 再考」のほか、海外においても1986年ポンピドゥーセンターで行われたグループ展「前衛芸術の日本」、1994年横浜美術館からニューヨークのグッゲンハイム美術館へ巡回した「戦後日本の前衛美術」などに出展されました。
» 展覧会について
本展では、70年代に菅自身が行った「アクティヴェイション(行為)」と呼ばれるパフォーマンスを収めたビデオ作品、また当時、野外で行なわれた行為としての写真作品によって、言わば作家の原点を振り返るとともに、新作の立体作品3点を併せて展示致します。
またオープニング当日には、作家本人によるパフォーマンス「アクティヴェイション」が小山登美夫ギャラリー内で行なわれます(2月18日、土曜日、午後4時より)。
[同時開催] 菅 木志雄 展 東京画廊:2月18日 – 3月11日
» 作家プロフィール
菅 木志雄は1944年岩手県盛岡市生まれ。1968年、多摩美術大学絵画科卒業。在学中1967年には、第11回シェル美術賞を受賞しました。
最近の大規模な個展では「揺らぐ体空 菅木志雄インスタレーション」(岩手県立美術館、2005年)、「菅木志雄—スタンス」(横浜美術館、1999年)、「菅木志雄展」(広島市現代美術館から巡回、伊丹市立美術館。神奈川県民ホールギャラリー、千葉市美術館、1997年)などのほか、1968年の初個展から現在に至る40年近いキャリアの中で、数多くの展覧会に出展してきました。
国際的にも活躍の場を広げ、1978年には第38回ヴェネチア・ビエンナーレ(日本側コミッショナー:中原佑介)に出展。以降イタリアや韓国などでも多数の展覧会を行い、また数々の国際ビエンナーレにも参加するなど、その功績は枚挙に暇がありません。