ヴァルダ・カイヴァーノ
©Varda Caivano

この度小山登美夫ギャラリーでは、ヴァルダ・カイヴァーノ展を開催いたします。本展は当ギャラリーにおいての3年ぶり4度目の個展となり、新作ペインティング9点と、ドローイング、ペインティング、コラージュをほどこした紙の作品を発表いたします。

【ヴァルダ・カイヴァーノについて】

ヴァルダ・カイヴァーノは、1971年アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ。2004年にロイヤル・カレッジ・オブ・アートにて修士号を取得しました。その以前には、ブエノスアイレス大学にて生物学と美術史専攻し、2000年代初期にイギリスに拠点を移し、ゴールドスミス・カレッジにて学士を取得。現在もロンドンを拠点に制作しており、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートおよびアムステルダムのアーティストレジデンス施設であるDe Ateliersにて客員講師を務めています。

近年のアーティストレジデンスでの制作として、2018年スペインのCCA Andratxでのものがあり、ここでの素材と思考の追求が、本展の作品に重要な影響を与えています。

主な個展として、2016年小山登美夫ギャラリー、2015年シカゴ大学ルネッサンス・ソサエティでの「The DENSITY of the ACTIONS」、Victoria Miro(ロンドン、2015年、2011年、2005年)などがあります。批評家の美術評論家のバリー・シュワブスキーは、2011年にVictoria Miroでの個展「Voice」について、「この展覧会『Voice』において、カイヴァーノはロンドンで最も将来を約束された若手ペインターから、年齢、地域に関わらず、現在最も優れたペインターのうちの1人へと変身を遂げた。」(Art Forum 297頁、2011年5月)と評しました。主なグループ展には、2013年第55回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の企画展「エンサイクロペディック・パレス(The Encyclopedic Palace)」、2012年光州ビエンナーレ2012(韓国)があります。日本では国立国際美術館に作品が収蔵されています。

【カイヴァーノの作品について ー制作プロセスや時間そのもの ー】

彼女の作品は、多種多様な色彩や線、筆触の何層もの重なりあいで構成されています。そして意図的に画面に余白が残されており、未完にとどめたようなその描き方は、観る者の想像性をかき立てる豊かさや、限りない空間性を感じさせます。

色彩は、初期の鮮やかなものから、前回の2016年の個展では「グレーペインティング」と称するグレー、ブルー、ブラウンを基調とした抑制された色合いに変化し、今回の新作ではまた赤、黄色、緑などの鮮やかな色彩の作品が描かれています。

ペインティングに描き込まれた鉛筆のドローイングの線も大きな特徴です。それはキャンバスの枠の中にさらなる枠のような機能を与えており、まるで一作品の細部にいくつもの作品があらわれているようにも見えます。

カイヴァーノは、さまざまな観察、熟考、発見、決断、計画や即興を繰り返しながら、色、線、素材、筆触と余白で奥行きや密度などを作品に表わしていきます。そしてやがて彼女の思考の痕跡と作品自身が発しているような声や会話と重なる・・この関係性が育つまでのある一定の時間を経て、ひとつの作品が完成します。作品の色彩や線、筆触の何層もの重なりは、その時間の経過を表わしているかのようです。

カイヴァーノ作品とは、このような制作プロセスそのものであるといえ、以前作られた作品や同時に制作されている作品同士の連鎖も生じさせています。このように画面に立ち現れる効果を感じながら、時間と作品空間の接点を定着させようと真摯に表現された作品は、物質性と幻想性が同居した、まさに抽象絵画の可能性を追求しているといえるでしょう。

【音楽や演劇の時間の流れとの共通性ー観客と展示空間】

彼女の作品はしばしば音楽や演劇の時間の流れとの共通性を見出されます。

美術評論家の清水穰氏は次のように評しました。
「カイヴァーノのコラージュはより流動的な、音楽的なものである。楽器がときどき弱音のアクセントをいれる他は沈黙(といっても環境音)が支配する音楽の楽譜のようだ。」
(清水穰「移行期の終わり 『ヴァルダ・カイヴァーノ』展」美術手帖、2017年3月号)

作家自身、作品と鑑賞者の関係において、次のように語っています。
「鑑賞者の眼前にひろがる絵画空間は(描き手によって)すでに決定されたものではなく、鑑賞者の目のなかにおいて解明されるものです。時折、私が自分の絵画を、転移の空間(トランジション・スペース)、あるいは内的空間(インナー・スペース)と呼ぶのはそうした理由からです。つまり、絵画とは再現/表象(リプレゼンテーション)ではなく、詩や音楽における上演(プレゼンテーション)のようなものです)」
(ヴァルダ・カイヴァーノインタビュー「想像を掻き立てる終わりのない絵画」聞き手:島田浩太朗、美術手帖、2017年2月号)

また、カイヴァーノはDe Atelierでのレクチャーの中で、次のように語りました。
「何世紀もの間、絵画は歴史、政治、経済、、全てを写し出してきました。絵画は全てを内包しています。現在、絵画は何世紀も前のものとは何か違う意味を持っていますが、それでもあなたたちはペインターとしての責任を持っています。絵画を、コンセプチュアルな実践として語る必要があります。」
(Dominic van den Boogerd, 「Great Temptations」)

彼女のスタジオで完成された作品は、制作した瞬間に何か別なものに変貌し、さらに展示空間において、作品と展示空間の壁面、照明などが相互作用することで作家自身、そして観客によって新たな面を発見されるでしょう。

カイヴァーノの作品をどのように作品を見、感じるかは鑑賞者の自由に委ねられています。
3年ぶりの小山登美夫ギャラリーでの本展、この3年の間に、カイヴァーノの作品はどのように変化し、また今回はどのように六本木のスペースと呼応していくのでしょうか。この貴重な機会に是非お越しください。

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プレスに関するお問い合わせ先:
Tel: 03-6459-4030 (小山登美夫ギャラリー オフィス)
Email: press@tomiokoyamagallery.com (プレス担当:岡戸麻希子)
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作家プロフィール

ヴァルダ・カイヴァーノ

ヴァルダ・カイヴァーノは、1971年アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ。2004年にロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業し、現在もロンドンを拠点に制作、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートにて客員講師を務めています。

主な個展として、2016年小山登美夫ギャラリー、2015年シカゴ大学ルネッサンス・ソサエティでの「The DENSITY of the ACTIONS」、Victoria Miro(ロンドン、2015年、2011年、2005年)などがあります。批評家の美術評論家のバリー・シュワブスキーは、2011年にVictoria Miroでの個展「Voice」について、「この展覧会『Voice』において、カイヴァーノはロンドンで最も将来を約束された若手ペインターから、年齢、地域に関わらず、現在最も優れたペインターのうちの1人へと変身を遂げた。」(Art Forum 297頁、2011年5月)と評しました。主なグループ展には、2013年第55回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の企画展「エンサイクロペディック・パレス(The Encyclopedic Palace)」、2012年光州ビエンナーレ2012(韓国)があります。日本では国立国際美術館に作品が収蔵されています。

  • Installation view from "Varda Caivano" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2019 ©Varda Caivano, photo by Kenji Takahashi
  • Installation view from "Varda Caivano" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2019 ©Varda Caivano, photo by Kenji Takahashi
  • Installation view from "Varda Caivano" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2019 ©Varda Caivano, photo by Kenji Takahashi
  • Installation view from "Varda Caivano" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2019 ©Varda Caivano, photo by Kenji Takahashi
  • Installation view from "Varda Caivano" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2019 ©Varda Caivano, photo by Kenji Takahashi
  • Installation view from "Varda Caivano" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2019 ©Varda Caivano, photo by Kenji Takahashi
  • Installation view from "Varda Caivano" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2019 ©Varda Caivano, photo by Kenji Takahashi
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