リチャード・タトル

リチャード・タトル 展「ヘヤノソト」

installation view at Tomio Koyama Gallery, 2007
 © Richard Tuttle

【作品紹介】

60年半ばから、タトルは日常の中のありふれた素材を用いた彫刻作品を発表しています。紙や木片、プラスティック、ワイヤー、金属片など、それまでの美術史上では決して主役になり得なかった取るに足らないものが、タトルの作品においては美しい色彩の、緊張感を放つオブジェへと生まれ変わります。巨大さや素材の重厚さが空間を圧倒するような同時代の作品に半ば背を向けるようにして、タトルは軽妙な、時に即興的でさえある作品を次々に制作しました。初期の立体のフォルムは、自身のドローイングに描かれたシンプルでありながら根源的な形が、そのままキャンヴァスや板、針金などによって3次元へ移行したかのようです。8cmほどに切り取られたロープ片を、壁にピンでとめただけの作品もあります。折しも70年代初頭、日本においても「もの派」と呼ばれる潮流が、同様の素材を積極的に、あるがままに見せようと模索し始めていた事は、興味深い事実かもしれません。

【展覧会について】

時を経るごとにタトルの素材は多様化し、形も複雑になっていきますが、日常で我々が目にする素材が、突然あらゆる境界を凌駕するパワーを帯び始める表現に変わりはありません。ストイックさと豊穣さが同居する作品からは、常に先鋭的であることへの探求心が見て取れます。構図とフレームの問題、線と色面、神秘性や精神性と開放された素材そのものを分ちがたく結びつけること。20世紀以降の芸術が宿命的に背負う課題を、彼は独自のスタイルで今なお探り続けています。床に近い高さで小さな作品を並べたり、全くフォルムの異なる作品をランダムに展示したり、もしくは壁面の中央ではなくあえてコーナーを活用したりと、そのインスタレーションの方法も多岐にわたります。鑑賞者の目線は自在に操られ、空間そのものが日常からある種の神聖な場所、作家の言葉を借りるならば「模倣から来るのではなく、真実に根ざした芸術」に出会う場所へと変貌してゆきます。

作家プロフィール

リチャード・タトル

リチャード・タトルは1941年アメリカ、ニュージャージー州生まれ。ニューヨークとニューメキシコを拠点に活動しています。ハートフォードのトリニティ・カレッジで哲学と文学を学び、1963年に卒業。1965年24歳の時にニューヨークのベティ・パーソンズギャラリーで初個展を行い、1975年34歳の時、ホイットニー美術館で個展を開催。その展示は反響を呼び、様々な物議を醸しました。国際展では、ヴェネツィア・ビエンナーレ(1976年、1997年,2001年)、ドクメンタ(1972年、1977年、1987年)、ミュンスター彫刻プロジェクト(1987年)、またホイットニー・ビエンナーレにも3回(1977年、1987年、2000年)参加しています。

このようにリチャードタトルは、ポスト・ミニマリズムの代表的なアーティストというだけでなく、そのカテゴリーや時代、ジャンルを超えて、常にアートシーンを刺激し、活躍してきたアーティストといえるでしょう。日本では、世界屈指のアートコレクター ヴォーゲル夫妻のドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー』(佐々木芽生監督)に、作品とともに登場したことでも広く知られています。

最近の主な展覧会として、2005年から2007年までサンフランシスコ近代美術館、ホイットニー美術館他アメリカ国内を巡回した大回顧展「The Art of Richard Tuttle」、また、2014年ロンドンのテート・モダンとホワイトチャペルギャラリーで同時開催した個展「I Don’t Know, Or The Weave of Textile Language」において、布を使用した巨大な彫刻作品をテート・モダンのTurbine Hallに展示し大きな反響を呼びました。作品はニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館ほかアメリカの主要な美術館、ステデリック美術館(オランダ)、テート・モダン(イギリス)、ポンピドゥー・センター(フランス)、ルードヴィヒ美術館(ドイツ)など、世界の数多くの美術館に所蔵されています。日本では国立国際美術館(大阪)がコレクションしています。

1941 Born in Rahway, NJ
1963 B.A. Trinity College,Hartford, CT
Lives and works in New York and New Mexico, USA

  • Installation view at Tomio Koyama Gallery, 2007 ©Richard Tuttle
  • Installation view at Tomio Koyama Gallery, 2007 ©Richard Tuttle
  • installation view at Tomio Koyama Gallery, 2007 
© Richard Tuttle
  • Dark Extension, 2007 
mixed media (plastic, hot glue, acrylic, Gouache), 
h.20.8 x w.10.3 x d.10.0 cm, 
© Richard Tuttle
  • Dark Extension, 2007 
mixed media (cardboard, acrylic)
, h.18.5 x w.7.7 x d.8.3cm, © Richard Tuttle
  • Dark Extension, 2007 
mixed media (wire, bottons, thread, card board, hot glue ), 
h.20.3 x w.7.5 x d.9.6cm
, © Richard Tuttle
  • Dark Extension, 2007
 mixed media (saw dust,pigment, sand paper, hot glue), 
h.18.5 x w.10.7 x d.9.5cm
, © Richard Tuttle
  • Dark Extension, 2007 
mixed media (balsa wood, aluminum, acrylic, screws, graphite)
, h.18.5 x w.6.5 x d.8.0cm, 
© Richard Tuttle
  • Dark Extension, 2007 
mixed media (card board, wire, pigment, paper mache, hot glue)
, h.30.5 x w.17.0 x d.9.0 cm, 
© Richard Tuttle