蜷川実花

photographs 2001-2004

installation view from “photographs 2001-2004” at Tomio Koyama Gallery, 2004 ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

<作品紹介>

鮮やかな原色とそこから広がる深いグラデーションが混在する鮮烈な色彩感覚は、一度目にすれば二度と忘れない、作品の最大の特徴です。加えてそのダイナミックな構図は、選ばれるモチーフの愛らしさ、ガーリーな感覚に対してむしろ男性的とも言える大胆さを備えています。
モチーフはいくつかの大きな流れに分けることができます ― 作り込まれた舞台セットのような世界に迷い込んだ女の子たち、大きく写し出された花や金魚、作家が世界中を旅しながら切り取ってきた風景など。それらは一見、ヴィヴィッドな色彩に彩られたどこまでも幸福な世界に見えますが、作家の興味は実はもっとわい雑なもの、或いは人工的な美しさに潜む毒々しさに向けられています。故意に使われた造花や張りぼてなどのまがい物が発する生々しい空気は、何気ない風景写真に見える1枚にもどこかで反映されているように思えます。

<展覧会について>

今回、小山登美夫ギャラリーでの初めての個展となる展覧会は、17点の大サイズと、80点を超える小サイズの写真作品で構成される予定です。作り物の中に組み込まれたお姫様のような女の子と、作家が実際に巡り歩いた世界各国のふとした風景、今まで組み合わせられることのなかった2つのシリーズが重なった展覧会は、既成の「蜷川実花的」というイメージをより豊かなものにするでしょう。
「消えてなくなりそうな瞬間的なもの、新陳代謝の早いものを捉えたい。(旅も女の子も)留められないものを留めたい、本当なら残せないものを、感性を研ぎ澄ませてどれだけ残すことができるか」(蜷川実花談)という言葉どおり、過ぎ去る一瞬を永遠の中に切り取り、刻み込むというアートの根源的な欲求が、彼女ならではのオリジナリティーを以って体現されています。

作家プロフィール

蜷川実花

蜷川は東京生まれの写真家、映画監督。多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科在学中に受賞した、第7回ひとつぼ展グランプリ、第13回キヤノン写真新世紀優秀賞以降、第9回コニカ写真奨励賞、第26回木村伊兵衛写真賞、大原美術館賞(VOCA展 2006)など数々の写真の賞を受賞しています。現在までに 90冊近くの写真集を出版し、2008年に東京オペラシティアートギャラリーから全国 4つの美術館を巡回した大規模な回顧展「蜷川実花展ー地上の花、天上の色ー」では、のべ18万人の観客を動員しました。また、『さくらん』(2007年公開)では長編映画初監督を務め、第57回ベルリン国際映画祭と第31回香港国際映画祭の正式出品特別招待作品となるなど、国内外で評価を得ました。続いて2012年には映画監督として2作目となる『ヘルタースケルター』を発表、2012年度新藤兼人賞を受賞。2014年には、芸術文化における幅広い見識から2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事に就任しました。また2016年3月19日〜5月8日に台北当代芸術館で開催された個展「蜷川実花展」は、同館の入場者数記録を大幅に更新する約13万人の入場者数となり、大好評を博しました。

  • installation view from "photographs 2001-2004" at Tomio Koyama Gallery, 2004 ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery
  • installation view from "photographs 2001-2004" at Tomio Koyama Gallery, 2004 ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery