川島秀明

「come out」

blank 2013
 acrylic on canvas
 162.5 × 130.5 cm 
©Hideaki Kawashima

【展覧会について】

2003年に小山登美夫ギャラリーでの初個展を行なって以来、川島秀明は抽象化された人物像を描いてきました。無地の背景に顔だけが空中にふわりと浮かぶようにあり、妖気をあらわすかのような長くたなびく髪は、人間というより、その魂のようなものを想像させます。作家はここに自分を投影してきました。
しかし2010年頃から、どこまでも内省的に自己を見つめた果ての、肥大化しすぎた自意識を、一度ニュートラルに戻したいと、その目は他者へと向けられはじめます。作品の人物には身体があり、それぞれ異なる髪型や服装が描かれて、モデルを想像させる具体的な個性を放つようになります。
そして初個展から10年ほどたった今、川島秀明の作品はまた変わりつつあります。
彼は1995年から2年間、比叡山延暦寺で天台宗の修行を経験しました。そのときに出会った「一隅を照らす」という最澄の言葉を、最近よく思い返すといいます。「各々の持ち場で最善を尽くしなさい」という意のこの言葉は、作家にある種の自由と、気概を与えたかもしれません。人物は固有の色から解かれ、形は自由にデフォルメされて、より「絵をつくる」ことが実践されています。
本展覧会のタイトルは「come out」。小山登美夫ギャラリーでは2008年以来となる個展に、作家は新たな気持ちで作品の制作に臨みます。

川島秀明は1969年、愛知生まれ。1991年、東京造形大学卒業。現在東京を拠点に制作活動を行っています。
主な展覧会に、「高橋コレクション展 マインドフルネス!」(2013年、鹿児島県霧島アートの森ほか)、「ポートレート・セッション」(2007年、広島現代美術館ほか)、「ライフ」(2006年、水戸芸術館現代美術ギャラリー)、「アイドル!」(2006年、横浜美術館)、「Little Boy」(村上隆キュレイション、2006年、ジャパン・ソサエティー、ニューヨーク)、「Japanese Experience Inevitable」(2004年、ザルツブルグ近代美術館)など、国内外で多数のグループ展に出展。2007年には韓国のポチョン・アジア・ビエンナーレにも出展しました。
2014年のサッカーワールドカップブラジル大会にあわせ、FIFAが世界中から23人のアーティストを選び、サッカーやブラジルの生活、祝祭をテーマとして制作したポスタープロジェクト、「オフィシャルアートプリントエディション2014FIFAワールドカップ・ブラジル™」では、バスキア、キース・へリングといった歴史上のアーティストとともに、川島秀明の作品が選ばれています。

作家プロフィール

川島秀明

川島秀明は1969年愛知県生まれ。1991年東京造形大学卒業後、1995年から2年間比叡山延暦寺での仏道修行などを経て、2001年アーティストとしての制作活動を開始しました。活動初期より川島は一貫して自意識と向き合い、顔、そしてそこに現われる繊細で複雑な感情を描き続けてきました。川島作品を観る者は、うっすら塗られた色のグラデーションの巧緻さと、時に強く、時に憂いを帯びた魅惑的な眼や表情に引き込まれ、自分とどこか繋がる部分があるような、心揺さぶられる感情を覚えるでしょう。
今までに国内外で多数の展覧会に出展しており、主な個展に「youth」(小山登美夫ギャラリー、2018年)、
「Back and Forth」(Richard Heller Gallery、アメリカ、2014年)、 「Wandering」(Kukje Gallery、韓国、2009年)があり、主なグループ展に、「Japanese Experience Inevitable」(ザルツブルグ近代美術館、オーストリア、2004年)、「ライフ」(水戸芸術館、2006年)、「アイドル!」(横浜美術館、2006年)、「Little Boy」(村上隆キュレイション、ジャパン・ソサエティー、ニューヨーク、2006年)があります。

1969年 愛知県生まれ
1991年 東京造形大学卒業