シュテファン・バルケンホール
Installation view at Tomio Koyama Gallery, Kyoto, 2011 ©Stephan Balkenhol photo by Yasushi Ichikawa

【作品紹介】
シュテファン・バルケンホールは、一本の木から台座ごと彫り出す立像、その背景としての役割を担うようなリリーフ、また絵画のように顔のポートレートだけが彫り込まれたレリーフなどを制作しています。モチーフとなるのは人物、動物、建築などです。「普通の人(”everyday man”)」と彼が呼ぶ人物たちは、個性や表情、服装や持ち物などの説明的要素を一切排除されています。それでいて生き生きとしたそれらの人物たちは、普遍的で親しみやすいようにも思えるし、不思議で孤独な、遠い存在にも思えます。また一方では、バケツを被った男性(”Man with bucket on his head” 2007)など、ありふれたものを意外な風に組み合わせ、遊びやユーモアの要素を与えられた作品もあります。
このようなバルケンホールの具象彫刻の制作の背景には、1970年代ミニマリズムやコンセプチュアリズムの台頭、それに繋がる具象の解体や排除の流れがあります。また一方においては、彫刻が政治的モニュメントや図像的にしか使われなかったという19世紀の歴史があります。これらのコンテクストへのレスポンスとして、バルケンホールはミニマリスティックな要素も兼ね備えた具象彫刻を追究し続けてきました。説明ではなく描写、そして彼の言う「現実と美」の表現へのアプローチが、鑑賞者の様々な感情や表情を喚起する詩的な作品を生み出してきました。
特定の物語を持たないバルケンホールの作品は、彼が素材に徹底的に向き合っていることをも感じさせます。鑿(のみ)あとや、ささくれにそのまま彩色が施された作品は、繊細かつ力強く、彼が自発的な作品の生成を重要視していることを示しています。素材、制作のプロセス、展示される空間などと一体になって初めて完結するバルケンホールの作品は、在るということの可能性への研究でもあるのです。

【展覧会について】
本展は、前回の東京、清澄の小山登美夫ギャラリーでの個展より約3年半ぶりの個展となり、バリエーション豊かな作品が展示される予定です。是非ご高覧ください。

作家プロフィール

シュテファン・バルケンホール

シュテファン・バルケンホールは1957年、ドイツのヘッセン州、フリッツラー生まれ。現在メゼンタール(フランス)、ベルリン、カールスルーエ(ドイツ)にて制作活動を行っています。1976年ナム・ジュン・パイク、シグマー・ポルケらが教鞭をとっていたハンブルグ造形大学に入学し、ミニマルな彫刻家として有名なウルリッヒ・リュックリームに師事しました。92年より、国立カールスルーエ造形芸術大学において彫刻の教授も務めています。

日本での初個展は2005年、大阪の国立国際美術館と東京オペラシティアートギャラリーにて「シュテファン・バルケンホール:木の彫刻とレリーフ」を開催し大きな話題になりました。その他の主な個展に、2010年グルノーブル美術館(フランス)、2008年ダイヒトーアハレン(ドイツ)、2005年国立国際美術館と東京オペラシティアートギャラリー、2003年シュプレンゲル美術館(ドイツ)、1996年サーチギャラリー(イギリス)、1995年ハーシュホーン美術館(アメリカ)、1994年新ナショナルギャラリー(ドイツ)等があります。

主なグループ展には、1995年「1995 Carnegie International」カーネギー美術館(アメリカ)、1992年「Doubletake」Hayward Gallery(イギリス / クンストハレ・ウィーン(オーストリア)に巡回)、「Post Human」FAE現代美術館(カナダ) [カステッロ・ディ・リヴォリ現代美術館(イタリア) / Deste Foundation for Contemporary Art(ギリシャ) / ダイヒトーアハレン(ドイツ)へ巡回]、1990年「Possible Worlds: Sculpture from Europe」ICAとSerpentine Gallery(イギリス
)、1987年「ミュンスター彫刻プロジェクト」(ドイツ)等があります。

作品はシカゴ美術館、ハーシュホーン美術館彫刻庭園、ブロード・アート・ファウンデーション(サンタモニカ)、ロサンゼルス・カウンティ美術館、ルードヴィヒ美術館、ボン美術館、フランクフルト現代美術館をはじめ、数多くの美術館に所蔵されています。日本では、国立国際美術館、東京国立近代美術館にコレクションされています。

  • installation view at Tomio Koyama Gallery Kyoto, 2011
 ©Stephan Balkenhol
  • installation view at Tomio Koyama Gallery Kyoto, 2011 
©Stephan Balkenhol
  • wall sculpture (man in grey suit), 2011
 wawa wood, acrylic
, h.220.0 x w.60.0 x d.29.0 cm
, ©Stephan Balkenhol
  • column figure (woman in red coat) 2011 
h.171.0 × w.28.5 × d.32.0 cm (figure)
 ©Stephan Balkenhol
  • column figure (man in green shirt), 2011 
wawa wood, acrylic
, h.173.0 x w.28.0 x d.32.0 cm (figure)
, ©Stephan Balkenhol
  • man in black/white with relief black gold, 2011
 wawa wood, acrylic, gold leaf, 
h.173.0 x w.38.0 x d.31.0 cm (figure)
, h.140.0 x w.99.0 x d.4.0 cm (relief), ©Stephan Balkenhol
  • mirror figure, 2011
 wawa wood, silver leaf, acrylic
, h.220 x w.100.0 x d.41.5 cm
, ©Stephan Balkenhol
  • small ebony sculpture, 2011 
ebony wood, 
h.36.0 x w.20.0 x d.8.0 cm
h.30.0 x w.20.0 x d.22.5 cm (base)
, ©Stephan Balkenhol
  • face on blind, 2011 
wawa wood, acrylic, sisal
, h.169.5 x w.130.0 x d.12.0 cm
, ©Stephan Balkenhol
  • head relief (woman grey), 2011
 wawa wood, acrylic
, h.80.0 x w.59.5 x d.2.5 cm
, ©Stephan Balkenhol
  • head relief (man black), 2011 
wawa wood, acrylic, 
h.80.0 x w.59.5 x d.2.5 cm
, ©Stephan Balkenhol
  • installation view at Tomio Koyama Gallery Kyoto, 2011
 ©Stephan Balkenhol
  • untitled 8-10, 2010 
charcoal on paper
, h.31.5 x w.23.5 cm (frame)
, h.50.0 x w.40.0 x d.3.0 cm, 
©Stephan Balkenhol
  • untitled 2-10, 2010 
charcoal on paper, 
h.31.5 x w.23.5 cm (frame)
, h.50.0 x w.40.0 x d.3.0 cm
, ©Stephan Balkenhol
  • untitled 1-10, 2010
 charcoal on paper, 
h.31.5 x w.23.5 cm (frame)
, h.50.0 x w.40.0 x d.3.0 cm
, ©Stephan Balkenhol