オノ・ヨーコ

「A statue was here 一つの像がここにあった」

Mind Object I 1960 / 1966 Acrylic, marble, coin, cigarette, salt shaker h.2.5 x w.45.5 x d.30.0 cm ©Yoko Ono

この度、小山登美夫ギャラリー六本木、天王洲で同時開催にてオノ・ヨーコ展「A statue was here 一つの像がここにあった」を開催いたします。

70年以上にわたるキャリアを通して、アート界のみならず社会的にも影響を及ぼしてきたオノ・ヨーコ(1933-)。インストラクション、オブジェ、映画、音楽、パフォーマンスからインスタレーションまで多様で革新的な表現は、鑑賞者の想像力と行為をひきおこしてきました。彼女の作品は詩的な美しさをもたらし、日常のものや精神を因習的な概念から解放し、人間同士の関わりの重要性を強調しています。

現在においてもオノの活躍はいまだおとろえることなく、2024年テート・モダンでの大規模個展は大きな話題となり、現在ベルリンで新ナショナルギャラリー、New Berlin Art Society、マルティン・グロピウス・バウなど3箇所以上で個展が同時開催中です。
また日本でも大阪・関西万博にて、地面の穴の中の鏡が空を映し天地を一体化したような「Cloud Piece」を展示。6月5日よりアート大阪 Expandedセクションで、1963年の「FLY」を再構築したインスタレーション作品展示を予定しています。

そして本展は、彼女にとって弊廊での9年ぶり4度目の個展となり、スタジオ・ディレクターのコナー・モナハン氏がキュレーションを担当します。

六本木では、白と透明色の、アクリルと既製品を組み合わせた作品に焦点をあてます。オノはそれらの作品を「コンセプチュアル・オブジェクト」と呼んでおり、そのうちの数点は1966年ロンドンのインディカ・ギャラリーでの個展、および翌年1967年リッソン・ギャラリーでの個展で最初に発表されました。本出展作は、オノが制作した初めてのオブジェ作品のうちの一部です。
天王洲では、来場者の参加とパフォーマンスを促す鑑賞型作品である、「Wrapping Piece」、「Draw Circle」を主に展示します。

(オノ・ヨーコの詳しいアーティスト情報はこちらをご覧ください:https://tomiokoyamagallery.com/artists/yokoono/


【本展および作品について ― 想像と行為を引き出し、自己観察の旅に誘う】

本展タイトル「A statue was here – 一つの像がここにあった」は、1967年の作品でオノ・ヨーコ作品集『Grapefruit』(1970年刊行版)に含まれており、本展キュレーターのモナハン氏は次の見識をあらわしています。
「このタイトルは、存在と不在の詩的なバランスを呼び起こし、物質的、概念的に作品に反映されています。また、作品が絵画と彫刻の伝統的な認識を変える方法に言及しています。」

本展は、オノのコンセプチュアルなアプローチを反映した作品セレクトを展開し、鑑賞者の参加型行為を誘います。
「Mind Object I」は、白、透明の球体や、一本のタバコ、一枚のコイン、石でできた本、塩入れで構成され、観覧者の心の中に一つのオブジェクトを創造するように促します。「Mind Object ll」は、 「NOT TO BE APPRECIATED UNTIL IT’S BROKEN (壊れた時に鑑賞しなさい)」と刻まれたプレキシガラスの台に、ガラスの瓶が一つ乗っています。

「Mend Piece」は、来場者はオノの「知恵で修復しなさい 愛で修復しなさい それは同時に地球を修復するでしょう」というインストラクションにより、壊れた器を「修復」するように誘われます。本展では、能登半島地震により破損した白磁の破片が使われます。

「Three Lives」(2019年)は、初公開の作品です。3つの楕円形の鏡のうち1つは破損、1つはそのまま、1つは二つの光で照らされ、この3つの鏡があわさることで、鑑賞者自身が変化していく様が反映されます

天王洲の「Wrapping Piece」は、鑑賞者が包帯を球体状に巻くことで、展覧会を通じて大きさを増していきます。この作品は参加者の行為によって発展し、手当、保護、覆うなどの行為の意味を喚起します。「Draw Circle Painting」では、来場者はペンで白いキャンバスに丸を描くことができます。本作も「Wrapping Piece」と同じように来場者の自由な参加を促す作品となります。

本出展作を通して見えるのは、存在と不在に対して、そして実態のないアイディアを形にする想像力―想像と希望によってつくられる未来への思考、知識、愛、信頼―に対してのオノの深い洞察です。

「オノの芸術は、変容させること、つまり、視覚化の行為を通して、善を実現させる心の力を信じることに向けられていた。」「彼女は、ほんの僅かな時間と知覚を提供し、本質を顕現させることで、日常生活におけるウィットと驚きを見出すことを拳げ、望むべきは、私たちを少しは思慮深く、そしてもっと人間的にしてくれるのである。」*1

「(オノは)究極的には『すべての芸術作品は未完成である』と主張した。それは今日に至るまで挑発的と見なされ続けているアプローチであり、アート制作に関する既成概念を覆すだけでなく、アートの制度的な枠組みとも対極的な立場です。」
「しかし、人生において、本当に完成し、落ち着き、疑いようのない真実となるものなどあるでしょうか? 歴史そのものは、それが認識され、記憶される方法において、少なくとも、個人であれ集団であれ、時とともに変化していきます。 」*2

この貴重な機会にぜひご来廊ください。

*1 アレクサンドラ・モロー「イエス(YES)の精神:オノ・ヨーコの芸術と人生」(オノ・ヨーコ「YES」展覧会カタログ、朝日新聞社刊行、2003年)

*2 コナー・モナハン「オノ・ヨーコ 一つの像がここにあった」、『オノ・ヨーコ A statue was here 一つの像がここにあった』展覧会カタログ、小山登美夫ギャラリー、2025年

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プレスに関するお問い合わせ先:
プレス担当:岡戸麻希子
Email: press@tomiokoyamagallery.com
Tel: 03-6459-4030 (小山登美夫ギャラリー オフィス)
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  • Mind Object II Acrylic, glass bottle h.139.0 x w.26.5 x d.27.3 cm ©Yoko Ono
  • Three Lives 2019 Three mirrors with steel frames, plywood, led lights, electrical wiring h.153.0 x w.61.6 x d.5.7 cm (each) ©Yoko Ono
  • Glass Keys to Open the Skies 1967 Four glass keys, acrylic case, metal hinges h.20.2 x w.26.2 x d.6.3 cm ©Yoko Ono
  • Mend Painting 1966 Canvas, plywood panels, gesso h.1.3 x w.30.5 x d.30.5 cm (each square) ©Yoko Ono
  • Fly Piece 1963 /1998 Canvas, aluminum frame, ink, ladder, white acrylic paint, sterling silver plaque h.61.0 x w.45.0 x d.57.0 cm (ladder) / h.51.0 x w.41.0 x d.4.0 cm (framed canvas) ©Yoko Ono
  • Franklin Summer 1995 Ink on paper 17.0 x 11.3 cm (each/paper size) unique ©Yoko Ono