この度小山登美夫ギャラリーでは、シュ・ニン(許寧)展「Starting with a Tear – HISTORY(涙からはじまる – ヒストリー)」を開催。新作ペインティング8点を中心に発表致します。
【展示風景 オンラインビューイング】
協力:Matterport by wonderstock_photo
【シュ・ニン(許寧)の新作
ー繊細さとダイナミズムが融合した、感情溢れるペインティング】
大きな白いキャンバスに、面相筆で一筆一筆細かく描き重ね、ドリッピングによる絵の具の跳ねや垂れの偶然性も共存したシュ・ニンの作品。色の鮮やかさ、躍動感と迫力で観るものを圧倒し、彼女の人生に真摯に向き合う信念と、自然への豊かな愛情、感動に溢れています。
作品制作においては、母国中国の古代思想や、ネーデルラント絵画のリアリティ、現代ファッションの装飾と革新性や、自然の美、生命の儚さなど、さまざまなジャンルを越えた事象から影響を受け、どこにもない独自の魅力を生み出しています。シュ・ニンは本展のタイトルを「Starting with a Tear – HISTORY (涙からはじまる – ヒストリー)」と名付け、その想いを自身の言葉で表しました。
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最初に画面に落とされた絵具の表情を目にした時、私はそれらは人間の涙のようだと感じた。
涙は私にとって、なんだろう。
殆どの人間は、第一声の泣き声と共に生まれてくる。生きている日々の中で、喜びを感じる時、悲しみを感じる時、悔しいと思う時、感動する時、喜ぶ時、私達の感情を表すため、思わず涙を流すことは人生の様々の場面にみえる。
人生の最後にも、他人の涙の中で終える。
涙とは人生の中で最初から最後まで伴うものだと考える。
人間の誕生について、西洋にはアダムとイブの美しい物語がある。
私の想像は止まらない。
もしアダムが涙を流すなら、彼の涙はバラを変えるだろうと。イブの涙は愛を示す。その愛は時に激しい波のように心まで訴えてくる。時に潺潺(せんせん)の水のように、心に漫歩する。曲がったり、真っ直ぐにいったり、日々と共に流す。出会った人々を通して、歩いてきた風景を通して、さらなる遥かな未来へ流してゆく。
私達は当然、絶望、苦痛、悲しみを感じた時、涙を流す。私達は美しい希望、折れない信念、言葉で表現しきれない温もりで感動した時、涙を流す。
生きていることを喩えるなら、愛である。涙を流すことはその愛に対しての表現だろう。その愛は夏に懸命に咲いている最後の一輪のバラのよう、燃え尽きそうだけど一生懸命だと思う。
そのような人々の姿が私の目に映る。
その姿は春の光、夏の風、秋の月、冬の雪を心に覚え、前へ、前へゆく。
この絵画にある涙は私にとって人々の幸せ、希望、信仰、崇高を願うものでもある。
そのように生きていた数え切れない人々の短い人生は、長い人類の歴史を作ったと思い、作品のタイトルにした。
この作品に留めたこのささやかな気持ちを人々に知ってもらいたくて、展覧会のタイトルにした。
シュ・ニン
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一見抽象画に見える作品の中には、14~16世紀の西洋絵画における人物画の「目」を引用して所々に緻密に描き込まれ、また、流麗な線は花、蝶、鳥、手なども表しています。
特に「手」は、中国において「十指連心」という言葉もあるように、心に繋がり心を表す、作家にとっても重要なモチーフの一つです。
作品に現れた様々な人々、感情に伴う涙が重ねる時間や歴史。シュニンの新しい作品世界をご覧に、ぜひお越しください。
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(プレス担当:岡戸麻希子)
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