川島秀明

「wavering」

Installation view from “wavering” at Tomio Koyama Gallery, 2008
 ©Hideaki Kawashima

【作品紹介】

川島秀明が描き続けるポートレートは、肉体を持たない人間の、抽象化された魂の姿であるように見えます。背景は無く、ふわりと空中に浮いているかのような数々の顔と相対するにつけ、私たちはその強いまなざしに吸い込まれ、自分の心の奥底をのぞかれるような緊張感と同時に、祈りを捧げる空間にいるかのような安らぎを覚えます。
95年から2年間、比叡山延暦寺にて天台宗の仏道修行を経験した川島は、日々の営みとして絵を描くことを選びました。両性具有的な、表情だけが抽出されて何者かに憑依しているようなモチーフを、作家は「自画像を描くような気持ちで」描いています。様々な形態に変化しながらも繰り返し執拗に描かれるこれらの肖像は、いかに普遍的な真理を追い求めていても決して拭い去ることのできない「自己」という怪物を、真摯に見つめ続ける作家の記録であるのかもしれません。

【展覧会について】

本展では、8-10点の新作ペインティングを展示致します。「今回は少し距離を置いて、様々な表情を演じているよう」と作家は語ります。
タイトルの”wavering”は、精神的なよろめき、揺らぎ、というニュアンスの言葉です。心の鏡に向かってポーズをとってみるような作家のひそやかな実験を、どうぞご高覧ください。

作家プロフィール

川島秀明

川島秀明は1969年愛知県生まれ。1991年東京造形大学卒業後、1995年から2年間比叡山延暦寺での仏道修行などを経て、2001年アーティストとしての制作活動を開始しました。活動初期より川島は一貫して自意識と向き合い、顔、そしてそこに現われる繊細で複雑な感情を描き続けてきました。川島作品を観る者は、うっすら塗られた色のグラデーションの巧緻さと、時に強く、時に憂いを帯びた魅惑的な眼や表情に引き込まれ、自分とどこか繋がる部分があるような、心揺さぶられる感情を覚えるでしょう。
今までに国内外で多数の展覧会に出展しており、主な個展に「youth」(小山登美夫ギャラリー、2018年)、
「Back and Forth」(Richard Heller Gallery、アメリカ、2014年)、 「Wandering」(Kukje Gallery、韓国、2009年)があり、主なグループ展に、「Japanese Experience Inevitable」(ザルツブルグ近代美術館、オーストリア、2004年)、「ライフ」(水戸芸術館、2006年)、「アイドル!」(横浜美術館、2006年)、「Little Boy」(村上隆キュレイション、ジャパン・ソサエティー、ニューヨーク、2006年)があります。

1969年 愛知県生まれ
1991年 東京造形大学卒業