廣瀬智央

官能の庭

Installation view from “il giardino dei sensi” at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, Japan, 2008 ©Satoshi Hirose photo by Kei Okano

【作品紹介】

廣瀬智央は、私たちの身近にある素材を使って、見ることだけではなく、匂うこと、食べること、触ること、といった感覚全てに訴えかけるインスタレーションを行います。15年以上ミラノで生活している廣瀬にとって、古いものと新しいもの、多様な文化が軽やかに交差する場こそが作品であるという考え方は、自然に生まれたものなのかもしれません。日常生活の中にある無限の宇宙を感じるために、廣瀬はいくつものアプローチを重ねます。
「家」シリーズでは蜜蝋やスパイス、オレンジなど、嗅覚に訴える様々な素材を用いて、どこにでも持ち運び可能なそれらの家を作りました。同じく通底するテーマのひとつである「旅」の作品には、作家自身が機上の人となって旅する中で、世界各地を通過しながら撮り続けた空の写真のシリーズ”Viaggio”もあります。鑑賞者である我々は、自分自身が身体のあらゆる機能から複雑な信号を受け取りながら、日々生活していることに気づかされます。

【展覧会について】

本展のタイトル『官能の庭』は、イタリアの作家マリオ・プラーツの著作から引用されています。「Untitled ( 豆のコスモロジー) 」と名付けられた、豆とワックスを使った絵画作品、大理石に水を張りシネラリアの花を浮かべた彫刻作品、またヴァンジ彫刻庭園美術館の展示でも出展された『オレンジの樹の家』のシリーズ、ドローイングなど、包括的なインスタレーションが展示されます。

作家プロフィール

廣瀬智央

廣瀬智央は1963年東京都生まれ。1989年多摩美術大学卒業後、1991-92年イタリア政府給費奨学生として渡伊。1996-97年ポーラ美術振興財団在外研修員としてイタリアにて研修、1997年ミラノ・ブレラ美術アカデミーを修了し、2008-09年には文化庁芸術家在外研修員としてニューヨークに滞在。現在はミラノと東京を拠点に活動しています。

主な個展に「レモンプロジェクト 03」(ザ・ギンザアートスペース、東京、1997年)、「Paradiso- Criterium 34」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、茨城、1998年)、「2001」(広島市現代美術館、2000年)、「Heteronym」(ウンベルト・ディ・マリーノ・ギャラリー、ナポリ、イタリア、2015年)、「Flâneur」(モリーゼ州文化財団, カンポバッソ, イタリア、2016年)、「廣瀬智央 地球はレモンのように青い」(アーツ前橋、群馬、2020年)などがあり、小山登美夫ギャラリーでは7度の個展を行っています。また近年では、母子生活支援施設の母子と空の写真を交換し合う「空のプロジェクト」(前橋、2016年から2035年まで継続)など、社会との接点を意識し既存のアート活動を超えた長期的なプロジェクトも手がけています。

その他グループ展として「Neo Tokyo」(シドニー現代美術館、オーストラリア、2001年)、「睡蓮2002:蒼の彼方へ クロード・モネ × 廣瀬智央」(アサヒビール大山崎山荘美術館、京都、2002年)、「Officina Asia」(Rete Emilia Romagna、ボローニャ近代美術館、ボローニャ/Galleia Comunale d’Arte、チェゼーナ/Palazzo dell’Arengo、リミニ、イタリア、2004年)、「別府現代芸術フェスティバル2012『混浴温泉世界』」(別府市内各所、大分、2012年)、アーツ前橋のコミッションワーク「遠い空、近い空:空のプロジェクト」(アーツ前橋、群馬、2013年)、「Spatium – Stanze del Contemporaneo」(ヴィスコンティ宮殿/ ヴェッキオ宮殿、ブリニャーノ・ジェーラ・ダッダ、イタリア、2018年)など、世界各国で多くの展覧会に参加しています。

廣瀬は長年の異文化での体験を推敲し、日常的な素材を用いて視覚化した、透明感と浮遊感を伴う作品を制作しています。インスタレーション、パフォ-マンス、彫刻、写真、ドローイングなど様々なメディアによって、現実と記憶の世界が交差する世界観を生み出しています。

1963年 東京都生まれ
1989年 多摩美術大学卒業
1991-92年 イタリア政府給費奨学生として渡伊
1997年 イタリア、ミラノ・ブレラ美術アカデミー修了

https://www.milleprato.com/