【作品紹介】
廣瀬智央は、私たちの身近にある素材を使って、見ることだけではなく、匂うこと、食べること、触ること、といった感覚全てに訴えかけるインスタレーションを行います。15年以上ミラノで生活している廣瀬にとって、古いものと新しいもの、多様な文化が軽やかに交差する場こそが作品であるという考え方は、自然に生まれたものなのかもしれません。日常生活の中にある無限の宇宙を感じるために、廣瀬はいくつものアプローチを重ねます。
「家」シリーズでは蜜蝋やスパイス、オレンジなど、嗅覚に訴える様々な素材を用いて、どこにでも持ち運び可能なそれらの家を作りました。同じく通底するテーマのひとつである「旅」の作品には、作家自身が機上の人となって旅する中で、世界各地を通過しながら撮り続けた空の写真のシリーズ”Viaggio”もあります。鑑賞者である我々は、自分自身が身体のあらゆる機能から複雑な信号を受け取りながら、日々生活していることに気づかされます。
【展覧会について】
本展のタイトル『官能の庭』は、イタリアの作家マリオ・プラーツの著作から引用されています。「Untitled ( 豆のコスモロジー) 」と名付けられた、豆とワックスを使った絵画作品、大理石に水を張りシネラリアの花を浮かべた彫刻作品、またヴァンジ彫刻庭園美術館の展示でも出展された『オレンジの樹の家』のシリーズ、ドローイングなど、包括的なインスタレーションが展示されます。