安藤正子 / 大野智史 / ヴァルダ・カイヴァーノ / 柏原由佳 / 桑久保 徹 / 小出ナオキ / アダム・シルヴァーマン / ライアン・マッギンレー / 蜷川実花 / 山本桂輔

グループ展「アートがあればⅡ −9人のコレクターによる個人コレクションの場合」東京オペラシティ アートギャラリー、東京

安藤正子、ヴァルダ・カイウ゛ァーノ、柏原由佳、小出ナオキ、桑久保徹、ライアン・マッギンレー、蜷川実花、大野智史、アダム・シルヴァーマン、山本桂輔
グループ展「アートがあればⅡ −9人のコレクターによる個人コレクションの場合」
2013年7月13日[土]- 9月23日[月]
東京オペラシティ アートギャラリー、東京

作家プロフィール

安藤正子

安藤正子は1976年愛知県生まれ。2001年愛知県立芸術大学大学院修了。瀬戸市を拠点に活動し、現在、愛知県立芸術大学美術学部油画専攻准教授。
主な個展に、「ハラ ドキュメンツ9 安藤正子 ― おへその庭」(原美術館、東京、2012年)、「安藤正子 作品集刊行記念展『Songbook』」(8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery、東京、2016年)。 子どもや毛糸の編み物、動物や草花などをモチーフに、油絵具の特質を生かし、緻密な描写や大きな余白などの画面構成等、様々な絵画的要素の中で生み出された、滑らかな絵肌のペインティング作品と、それとは対照的に硬質な質感の精緻な鉛筆ドローイングが特徴的であった。2018年以降は、陶のレリーフや、水彩、木炭によるドローイングなどに作品が大きく展開している。

出版物
http://tomiokoyamagallery.com/publications/songbook/

大野智史

大野智史は1980年岐阜県生まれ。2004年東京造形大学卒業。現在山梨県富士吉田市を拠点に、制作活動を行っています。

大野は現在富士山麓にアトリエを構え、原生林の中で自らの感覚を研ぎすましながら、自然と人工の対峙と融合、時間を探求する絵画制作を行っています。大野の制作の背景には、東西の美術史と、絵画的な表現についての分析があります。デジタル時代を象徴するようなフラットな色面構成と描写的な表現を1つの画面で拮抗させ、感覚を多層化させながら、絵画の可能性を探求します。「Prism」シリーズは、ヤモリに食べられてしまう運命ながら、街灯の光に引き寄せられるように集まっていく蛾を目撃した経験から着手したものです。それは生きとし生けるものの極限状態の体現、そして光についての科学的研究を踏まえた究極の美の表現と言えます。

主な個展として、2007年にはホノルル現代美術館で個展「Prism Violet」を行い、小山登美夫ギャラリーにて5度開催しています。
主なグループ展に、「STANCE or DISTANCE? わたしと世界をつなぐ『距離』」(熊本市現代美術館、2015年)、「『アート・スコープ 2012-2014』─旅の後もしくは痕」(原美術館、東京、2014年)、「絵画の在りか」(東京オペラシティアートギャラリー、2014年)、「リアル・ジャパネスク」(国立国際美術館、大阪、2012年)、「VOCA展、2010年」(上野の森美術館、東京、2010年)、「越後妻有アートトリエンナーレ、2009年」(福武ハウス、2009年/旧名ヶ山小学校、新潟)、「THE ECHO 展」(ZAIM 別館、横浜、2008年)などがあります。作品はビクトリア国立美術館、原美術館 ARC、トヨタアートコレクション、国立国際美術館ほか、国内外の個人コレクターにも収蔵されています。

ヴァルダ・カイヴァーノ

ヴァルダ・カイヴァーノは、1971年アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ。2004年にロイヤル・カレッジ・オブ・アートにて修士号を取得しました。その以前には、ブエノスアイレス大学にて生物学と美術史専攻し、2000年代初期にイギリスに拠点を移し、ゴールドスミス・カレッジにて学士を取得。現在もロンドンを拠点に制作しており、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートおよびアムステルダムのアーティストレジデンス施設であるDe Ateliersにて客員講師を務めています。

主な個展として、2016年小山登美夫ギャラリー、2015年シカゴ大学ルネッサンス・ソサエティでの「The DENSITY of the ACTIONS」、Victoria Miro(ロンドン、2015年、2011年、2005年)などがあります。批評家の美術評論家のバリー・シュワブスキーは、2011年にVictoria Miroでの個展「Voice」について、「この展覧会『Voice』において、カイヴァーノはロンドンで最も将来を約束された若手ペインターから、年齢、地域に関わらず、現在最も優れたペインターのうちの1人へと変身を遂げた。」(Art Forum 297頁、2011年5月)と評しました。主なグループ展には、2013年第55回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の企画展「エンサイクロペディック・パレス(The Encyclopedic Palace)」、2012年光州ビエンナーレ2012(韓国)があります。日本では国立国際美術館に作品が収蔵されています。

柏原由佳

柏原由佳は1980年広島県生まれ。2006年に武蔵野美術大学造形学部日本画学科を卒業し、渡独。2012年にはVOCA展に出展、佳作賞と大原美術館賞を受賞しています。同年、ポーラ美術振興財団在外研修員としてドイツにて研修。ライプツィヒ視覚芸術アカデミーを2013年に卒業し、2015年同アカデミーマイスターシューラーを取得しました(Annette Schröter教授に師事)。現在、ドイツ、ベルリンを拠点に制作活動を行なっています。

主な個展に、「借景」(バウハウス・デッサウ財団研究員Torsten Blumeによるキュレーション、バウハウス・デッサウ、ドイツ、2008年)、「最初の島 再後の山」(大原美術館、岡山、2016年)などがあり、小山登美夫ギャラリーでは2011年、2012年、2013年、2016年、2019年と5度の個展が開催されました。

柏原由佳は、透明性と濃密さが共存した、生命力溢れる独特な作品世界をつくりあげています。
彼女の絵画制作は、西洋の伝統的な古典絵画技法に基づき、半油性下地を独自の配合で混ぜ合わせてキャンバスに塗りこむ作業からはじまります。そこでできあがったオリジナルのキャンバスの上に、油絵の具を日本画のように薄く溶き、同時にテンペラ絵具も用いながら描いて独特な深い色彩を表現するのです。

柏原の作品には、現実の景色と内なる想像の空間がゆるやかに編み込まれて存在します。その背景には、日本を離れ渡独して制作を続ける彼女の、内と外の「距離」への興味が介在しているといえるでしょう。ドイツと日本の物理的な距離、それぞれの文化間での精神的な距離、また日本人としての自分と、ドイツにいる自分との距離。それは彼女が作品で繰り返し取り上げる洞窟、穴、山、湖といったモチーフを、内省的な思索をシンボリックにあらわすものへと昇華し、大地にひそむ根源的な自然のエネルギーをも喚起させています。

出版物
http://tomiokoyamagallery.com/publications/artist-meets-kurashiki-vol-14-book/

http://yukakashihara.com

桑久保 徹

1978年神奈川県生まれ。2002年多摩美術大学絵画科油画専攻卒業後、現在も神奈川県を拠点に活動を行う。

現代美術に立ち向かうための方法として、自分の中に架空の画家を見いだし、彼に描かせるという演劇的アプローチで制作活動をスタート。あえて今や古典的ともいえるゴッホのような油絵具の厚塗り技法を用い、現代的心象風景を物語性豊かに描く独自の世界は、国内外で高い評価を受けました。

2014年より、美術史に輝く巨匠の生涯をひとつのキャンバスに込めて描く「カレンダーシリーズ」作品の制作を開始し、2020年ついに完成。
ムンク、ゴッホ、モディリアーニなど桑久保により選ばれた巨匠が12ヶ月にあてはめられ、カレンダーの「月」に見立てられた「カレンダーシリーズ」は、
それぞれの作家たちの作品、スタジオ、人生が桑久保の解釈により壮大な異次元空間として表現され、時空を超えた共鳴が生まれる究極のオマージュ作品となっています。

今までに、ニューヨーク、ロンドン、ベルリン、コペンハーゲン、シンガポール、ソウル、台北、東京など世界各地で個展を行い、2020年には初の美術館での個展となる「A Calendar for Painters without Time Sense. 12/12」(茅ヶ崎市美術館、神奈川、2020年)を開催、大きな話題となりました。
主なグループ展に、「「サイト -場所の記憶、場所の力-」(広島市現代美術館、2013年) 、「東京画 ll:心の風景のあやもよう」(東京都美術館、2013年)、「VOCA 2012」(上野の森美術館、2012年)、「アーティスト・ファイル 2010 現代の作家たち」(国立新美術館、東京、2010年)、「トーキョーワンダーウォール」(東京都現代美術館、2003年)があります。

受賞歴として、第3回Dアートビエンナーレ最優秀賞 (2013年)、VOCA展2012 奨励賞 (2012年)、第三回絹谷幸二賞(2011年)、トーキョーワンダーウォール賞 (2002年)、

作品は、ジャピゴッツィコレクション、第一生命保険株式会社、高橋龍太郎コレクション、高松市美術館、タグチ・アートコレクション、トヨタアートコレクションなど、国内外で数多く所蔵されています。

小出ナオキ

小出ナオキは1968年、愛知県生まれ。1992年に東京造形大学造形学部美術学科を卒業。現在は千葉県を拠点に制作活動を行っています。
2003年、岡田聡氏キュレーションによるグループ展「マジック・ルーム」(Project Room / 小山登美夫ギャラリー)に出展後、小山登美夫ギャラリーでは5度の個展を行っています。
その他の主な展覧会に、「カフェ・イン・水戸」(2004年、水戸芸術館現代美術ギャラリー、茨城)、「マジカル・アート・ライフ」(2006年、トーキョーワンダーサイト渋谷、東京)、「Fiction@Love」(2006年、MOCA Shanghai、上海、中国)、「neoneo Part1 [BOY]」(2009年、高橋コレクション日比谷、東京)、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2009」(2009年、新潟)「Paul Clay」(2011年、Salon 94 Bowery、ニューヨーク)「高橋コレクション展 マインドフルネス!」(2013年、鹿児島県霧島アートの森、姶良郡、鹿児島 [ 札幌芸術の森美術館、札幌、北海道 へ巡回 ])などがあります。

小出ナオキは主にFRP(合成樹脂)、セラミック、木などを用い、愛らしくもどこか不気味で不思議な立体作品で、雲のお化けやドクロなど、異界のものたちや、自身とその家族を作品化してきました。小出の作品について、美術評論家の森口まどか氏は次のように書いています。

「日常や自己の内なるところから着想する在り方は、小出にかぎらず、今日のアートシーンにあっては定跡といっても良いほどだと思うが、その場合、微温的な暮らしをそのままかたちにしても作品としての強度は持ち得ない。小出ナオキの場合、臆面もなく家族や身近な人たちとの出来事を語りながら、センチメンタリズムに堕ちず、事の本質を見据えるふてぶてしさが、アーティストとしての核をなしているように見える。」(森口まどか 「小出ナオキの現在性」『Maternity Leave』小山登美夫ギャラリー、2012年)

また、小出は滋賀県立陶芸の森で滞在制作の機会を得たこともきっかけに、2009年頃から彫刻の主な素材をFRPからセラミックに変えました。FRPにはない、いわばセラミックという素材特有の”裏切り”を、小出は「まるで、子どもが産まれてくる前の父親に産まれた後の生活が想像できないような、そして、産まれて初めてその意味がようやく理解できる感じと似ています。制作する意味、が少し分かってきたような気がしている。」(小出ナオキ「主題」『Maternity Leave』小山登美夫ギャラリー、2012年)と語ります。小出の作品には、詩情にあふれ、自伝的でありながら、鑑賞者の記憶を本質的に刺激するような魅力をもっています。

1968年愛知県生まれ
1992年東京造形大学造形学部美術学科卒業

出版物
http://tomiokoyamagallery.com/publications/in-these-days_book/

アダム・シルヴァーマン

アダム・シルヴァーマンは1963年ニューヨーク生まれ。建築とアートを学んだ後、カリフォルニアに移住。ファッション・ブランド「X-LARGE」の創設メンバーとしても知られます。陶芸家としての活動を2002年より開始。ヒース・セラミックスのスタジオ・ディレクターを経て、現在はカリフォルニアにある自身のスタジオを拠点に制作しています。「BOOLEAN VALLEY」(建築家ナーダー・テラーニとのコラボレーション、ロサンゼルス現代美術館、2009年)、「Reverse Archaeology」(キンベル美術館、テキサス、2012年)、「Clay and Space」(ラグナ美術館、カリフォルニア、2013年)などをはじめとして、アメリカを中心に精力的に個展を開催。作品はロサンゼルスカウンティ美術館、テキサス州ダラスのナッシャー彫刻美術館や、イスラエル美術館などにも収蔵されています。

1963 ニューヨーク生まれ
1987 ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン美術学部修了
1988 ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン建築学部修了
現在、ロサンゼルスを拠点に制作活動

出版物
http://tomiokoyamagallery.com/publications/adam-silverman-ceramics-book/

ライアン・マッギンレー

1977年アメリカニュージャージー州生まれ。2000年パーソンズ・スクール・オブ・デザイン、グラフィックデザイン科を卒業。今まで国際的に数多くの展覧会を開催しており、主な個展に、「The Kids Are Alright」(ホイットニー美術館、ニューヨーク、2003年)、「New Photographs」(MOMA PS1、ニューヨーク、2004年)、「Laboratorio 987: Entre Nosotros」(カスティーリャ・イ・レオン現代美術館、スペイン、2005年)、「Project Space」(クンストハレ・ウィーン、2006年)、「Magic Magnifier」(Daelim Museum、ソウル、2013年)、「ライアン・マッギンレー BODY LOUD!」(東京オペラシティアートギャラリー、東京、2016年)、 「The Four Seasons」(ベルガモ近現代美術館、イタリア、2016年)があります。小山登美夫ギャラリーでは、2012年にマッギンレー国内初となる個展を8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryと同時開催致しました。作品はソロモン・R・グッゲンハイム美術館、サンフランシスコ近代美術館、ヒューストン美術館、スミソニアン博物館・国立肖像画美術館(ワシントン)、ホイットニー美術館をはじめ多くの美術館に所蔵されています。
https://ryanmcginley.com

蜷川実花

東京生まれ。写真家、映画監督。2001年木村伊兵衛写真賞ほか数々受賞。映画『さくらん』(2007)、『ヘルタースケルター』(2012)、『Diner ダイナー』『人間失格 太宰治と3人の女たち』(ともに2019)監督。Netflixオリジナルドラマ『FOLLOWERS』が世界190ヶ国で配信。映像作品も多く手がける。2008年、「蜷川実花展―地上の花、天上の色−」が全国の美術館を巡回、のべ18万人を動員。2010年、Rizzoli N.Y.より写真集を出版。2012年、映画『ヘルタースケルター』にて新藤兼人賞銀賞を受賞。台北、上海などアジアを中心に大規模な個展を開催し、動員記録を大きく更新するなど人気を博し、世界的に注目を集めている。2018年熊本市現代美術館を皮切りに、個展「蜷川実花展-虚構と現実の間に-」が2021年まで全国の美術館を巡回中。

https://mikaninagawa.com/

山本桂輔

山本桂輔は彫刻と絵画の2つの表現方法を横断しながら、制作を行ってきました。2000年代までの作品では、草花やキノコ、妖精のようなモチーフが、有機的な曲線に巻き取られながら、独特の色彩の中にひとつのフォルムとして完結します。その幻想の世界感が極限まで肥大化したのが、2009年の個展「起立」で展示した高さ5mを超える巨大な彫刻でした。作品は生命力すら感じる圧倒的なボリュームと、派手な色彩で人々を魅了しました。以降山本の彫刻は少しずつ変わりはじめます。

2012年、山本は拾った古道具などに部材を加えたり、彫刻を施した作品を、個展「Brown Sculptures」で発表しました。それまで色に対する憧れ、絵画への憧れが強かった彼が、この展示では、比較的小さな木彫だけを展示し、しかも木工用の茶系の着色剤を使って、色を廃しました。かつて別の用途で使われていた道具をなにかに見立てる、あるいは擬人化することは、日本人にとって馴染み深く、ある種のフォークな感覚は山本の新たな展開を感じさせます。作家は自身の作品について、「人間の創作の歴史や衝動に興味があります。それらを意識しながら、彫刻と絵画は相互に関係を持ち、生成されていきます。」と語っています。

彼の制作を語る上で、彫刻との両輪として欠かすことのできない絵画。松井みどり氏は、山本の絵画について「幾何学形と植物のイメー ジを組み合わせることで、装飾的なデザインと象徴的な連想を統合する」と評しています。

山本桂輔は1979年、東京生まれ。2001年に東京造形大学彫刻科を卒業後、同大学研究生として2003年まで在籍。2018年東京芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。現在、神奈川を拠点に制作活動を行っています。小山登美夫ギャラリーでは、6 度の個展を行っており、主なグループ展に、「VOCA 展 2008」(2008 年、上野の森美術館、東京 )、松井みどりキュレーションによる「ウィンター・ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」(2009 年、原美術館、以降世界巡回)、「Twist and Shout: Contemporary Art from Japan」(2009年、バンコク芸術文化センター、バンコク)、「ノスタルジー&ファンタジー 現代美術の想像力とその源泉」(2014年国立国際美術館、大阪)などがあります。作品は国立国際美術館などに収蔵されています。

出版物
http://tomiokoyamagallery.com/publications/keisuke-yamamoto-book/