絵画、彫刻から、パブリックアート、プロダクトデザイン、文筆業まで。現在、 渋谷駅にある巨大な作品「明日の神話」でも知られる日本の現代美術のパイオニア岡本太郎の創作は多岐に渡り、生誕100年を超えた今日まで、多大な影響を与え続けています。1970年以降、岡本太郎の作品には顔や眼のモチーフが頻繁に登場するようになりました。それは彼が創作活動を通して見いだした「眼は存在が宇宙と合体する穴だ。その穴から宇宙を存在のなかにとけ込ます」という言葉のように、宇宙と人間とを結びつける穴として、作品中の眼が太郎自身の眼と一体化して表されるようになります。
本展ではそんな顔や眼のモチーフを中心とした、モノクロームリトグラフ、カラーリトグラフ、エッチングの版画作品と、復刻家具を展示致します。
「・・すぐれた美術品、芸術作品といえば極めて稀なものであり、だからこそ 尊いと考えられた。・・だがこれからの芸術はシネマ、ラジオ、テレビジョ ンに見られる如く、却って極めて大量に生産され、ひろく一般の身近にふれ るものこそ価値がある。」 ―『アトリエ』1955年
芸術は大衆のもの。岡本太郎の根幹にあるこの思想を表したともいえる版画・プロダクト作品を、ぜひご高覧下さい。