風能奈々

「あの魚が光って見えるのは はがれかけた鱗がゆれるから」

Neighbor’s Garden 2013 acrylic on canvas 162.0 × 227.5 cm ©Nana Funo

【作品紹介】

風能奈々のペインティングは装飾的なパターン、動植物、人物、風景、文字などのモチーフが繊細で密度の濃い線によって満たされています。
アクリル絵具、染色のペンで描かれる優美なドローイング、染料やジェッソの重ね塗り、マスキングによって浮かべられる模様など、多彩な手法により、画面に重ねられるレイヤーがつくりだす視覚効果は、作品の奥まで見てみたいという好奇心を誘います。時に磁器、テキスタイル、また時にはレリーフのようなテクスチュアが作品に溢れています。
多様なマチエールに対する鋭い感覚と創造力を保っているのは、よく博物館を訪ね、古い物をじっくりと見ることと関連しているかもしれない、と風能は話します。歴史において現れたさまざまな造形要素とマテリアルがその時代の精神性と世界観を反映し、風能にインスピレーションを与える一方、彼女の特有な造形言語とマチエールは、個人のエモーショナルな側面の一瞬が形成する、独自の世界観を描いています。また、日常生活でわき起こる感情の波が風能の絵を描くことを促すとも彼女は話します。その瞬間に感じたことを風能は、ペインティングと同様の密度でノートブックに描いていき、それらのドローイング・ノートはイメージの源泉となり、タブローの上に発展していきます。

【展覧会について】

本展では、アクリル絵具とマスキングの手法を用いた作品を中心に展示いたします。幅6m近い4枚組の大作とともに、108点の40cm×40cmの小品により構成される壮観な展示、風能が新たに試みたグレーズの手法を用いた作品などが展示されます。また、2012年の小山登美夫ギャラリー(東京)での個展で、彼女は自身のインスピレーションの記録となるドローイング・ノートが初めて発表されました。その後も毎日3~5時間をかけて描き続けてきた、最新のドローイング・ノートを展示いたします。風能が持つ豊かな想像力、表現における新しい展開と挑戦をご覧下さい。

作家プロフィール

風能奈々

風能奈々は1983年静岡県生まれ。2006年大阪芸術大学芸術学部美術学科油画コースを卒業後、2008年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了。現在静岡で制作を行っています。

風能奈々の作品は、風能が幼い頃から愛しむ想像や物語の世界と、高い密度の多様なマチエールが絡み合って、独特で重層的な世界観を生み出しています。鑑賞者は、画面に現れるまるで磁器や彫金を思わせるかのような光沢と、刺繍や織物のような繊細な筆致がアクリル絵具のみで生み出されていることに驚きを覚えるでしょう。

個展は、2010年に六本木ヒルズ A/D GALLERYにて、2012年に「緑の遠吠え」(板室温泉大黒屋、那須塩原、栃木)にて開催、小山登美夫ギャラリーでは2008年、2009年(小山登美夫ギャラリー京都、、2012年、2014年(同年にシンガポールと渋谷ヒカリエの2回)、2016年、2019年に行っています。主なグループ展として「VOCA展 2009」(2009年、上野の森美術館)、「絵画の在りか」(2014年、東京オペラシティ アートギャラリー)があり、作品はアマン東京、ジャピゴッツィコレクション(スイス/アメリカ)、高橋コレクション、高松市美術館、モンブラン GBU ジャパンに収蔵されています。