長井朋子の作品には、森や部屋の背景に、猫や馬などのたくさんの動物たちや、幼い少女、色とりどりの木やキノコなどが、まるで劇場のように配置されています。様々なモチーフが散りばめられた作品はどれも、世界が凝縮したような充足感と独特の空間性をもっています。長井は下描きをせず、描く対象に応じて、油彩、アクリル絵具、水彩、色鉛筆、パステルなどのふさわしい画材を選び、加えて立体作品や、インスタレーションも手がけます。それによるマチエールや素材の違い、描き込みの程度の違いはリズムとなり、ひとつの音楽を生んでいるように思えます。長井の作品には、明確な物語があるわけではありませんが、この音楽を感じる事によって、わたしたちはいつの間にか彼女の作品世界の中に入り込んでいるのです。
「真夏の毛むくじゃらハウス」と題した本展では、展示会場を部屋に見立て、大小のペインティングやドローイングをインスタレーションします。