<作品紹介>
名知聡子の作品には、たびたび作家本人や、友人が描かれます。叶わなかった想いや、こうありたかった状況など、作家自身に現実に起こった出来事や、友人から聞いた話しをもとに、濃く、深く考え続けた内容を、画面に描き出していきます。それは、作家の想い人とのエピソードであったり、友人の個人的な相談だったりするのですが、それらを繰り返し思い返したり、練り回したりし続けるうちに、個人的なディテールは見えなくなっていき、そこから浮かび上がるエッセンスのようなものだけが残り、それが作品に強度を与えていきます。特徴である細かい筆致や、象徴的なディテールは、観客に強い印象を与えます。
また、名知のペインティングのサイズは大きなものが多く、オペラシティで発表された「幸福と絶望」においては長さ11メートルいう大きさです。それは、観客を包み込み、自分の描き出す世界以外を見えなくしたいからだ、と名知は言います。
<展覧会について>
今回の個展では、熊本市現代美術館にて発表したペインティング2点と、4m x 8mに及ぶ巨大なペインティングほか、新作ペインティング4点、写真作品を2点展示予定です。想い人へのメッセージともとれる作品シリーズと、友人をテーマに描いた新作です。
写真作品も、名知が想い人へ渡したプレゼントをテーマにしたものなどで、制作の根底には一貫して同じ流れがあります。