パウロ・モンテイロ

「近くのものを積んで動く車 – A Car Load of Close Things」

Paulo Monteiro パウロ・モンテイロ Untitled 2025 oil on linen 22.0 x 15.0 cm ©︎Paulo Monteiro

この度小山登美夫ギャラリーでは、パウロ・モンテイロの新作展「A Car Load of Close Things」を開催いたします。本展は作家にとって弊廊での3年ぶり3度目の個展、そして2017年日本での初の個展時同様にMISAKO & ROSENとの同時開催となり、より多彩な作品群を見ることができる貴重な機会となります。

【パウロ・モンテイロについて
ーペインティング、ドローイング、彫刻と、多彩な色合いでミニマルかつ豊かに表すー】

ピンク、オレンジ、イエロー、ブルーなどの鮮やかな色面に、小さい点や細い線の絵具の盛り上がりが物質感を表出させるペインティング。ぐにゃりと崩れ落ちそうな粘土を上から押し付け、ブロンズやアルミに鋳造した立体作品。

パウロ・モンテイロ(1961-)は、ペインティング、ドローイング、彫刻を、鮮やかな色彩でミニマル且つ表現豊かに制作するブラジルのアーティストです。2008年にはサンパウロ州立美術館にて大回顧展が開催され、2014年ニューヨーク近代美術館(MoMA)に作品が12点所蔵されるなど、近年世界各国で注目を集めています。

彼の作品群は、具象と抽象の間を行き来しながら不思議な物質性や運動性をもち、空間での絶妙な距離感で作品同士がつながり、共鳴しながら存在します。
それらは星座や譜面、ダンスの動きのようにも例えられます。作品は固有の存在性がありつつも、位置や鑑賞する角度、距離によって見え方が変わり、鑑賞者はそれぞれの色、形、大きさの特徴や違いを見つける楽しさを感じられるでしょう。

詳しい作家説明はこちらをご覧ください:https://tomiokoyamagallery.com/artists/paulo-monteiro/

【モンテイロ作品および新作について
ー 色彩と空間、立体感の関係性、生き生きとした動きのシンプルで多層的な世界】

今回の新作は、ペインティングに加え、初めて木片を使った小さな彫刻群、また近年制作したグアッシュ画も発表します。

個展タイトル「A Car Load of Close Things」および新作の特徴として、モンテイロは次のように述べました。
「私は近くにあるものについて考えました。なぜなら私の新作は小さく、間近で見る方が良いからです。同時に、車というものの基本的な構造とは何かについても考えました」
「この(個展タイトルの)アイデアは、車という移動体でありながら、様々なもので満たされているものを持つというものです。この展示では、動きのある何かを考えています。」
「この新作群は色彩と体積、そして特定の空間に関連しています。私は色彩を用いて距離と近接の関係を探求しようとしているのです」*1

彼のペインティング作品は、均質性ある絵具の層で楕円が描かれ、背景と様々な色が塗り分けられています。同時にブラシでペイントの表面を薄め、厚みある層の少量のペイントを別の箇所に移動し、「色」を「物質」として浮かび上がらせます。
彫刻作品では、素材をずらしたりカットすることで、ブロンズの硬い素材が粘度を伴ってうねり、ふくれあがるように見え、脆さや儚さまで感じさせるかもしれません。それは作品と重さのささやかな対話と、変化のプロセスを表現しているようです。

モンテイロの作品は、生き生きとした動きの必然性、偶然性の要素により、ドラマティックで楽しげにさえ見えます。
彼は70年代の活動初期に当時軍事政権化にあったブラジルにおいて、政治批判的なアンダーグランド・コミックを描いていました。そしてコミックと現代美術の両方の要素を併せ持つフィリップ・ガストンの作品に感銘を受け、本格的に絵画制作を始めています。

インタビューの中でこのように語っています。
「あなたたちは、私のペインティング作品の前で止まる必要はない。見て動いていいのだ。」
「私は、まるで漫画のようにアート作品を制作しようと試みている。それは見る価値のあるもので、そして楽しいものでなければならない。」*2
「制作中は、描画そのものについては気にしません。私が興味を持つのは、色彩や、物質性、透明性、層、そして各作品にうまれる雰囲気といった問題なのです」*3

色と空間、距離と立体感が、動きと共に自由に表現されるパウロ・モンテイロの新作。
世界の複雑さを、シンプルな表現で多彩に表しており、鑑賞者は日常のささやかな気配や側面にある豊かさに気づくことができるでしょう。離れて見たり、近づいて見たり、様々な角度から楽しい発見を探しに、ぜひお越しくださいませ。

*1 本展に際してのメールインタビュー
*2 Marta Papini「Paulo Monteiro in Conversation」Skira, 2024
*3 パウロ・モンテイロ個展「Ao redor da distância」(Mendes Wood DM、2025)プレスリリース

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プレスに関するお問い合わせ先:
プレス担当:岡戸麻希子
Email: press@tomiokoyamagallery.com
Tel: 03-6459-4030 (小山登美夫ギャラリー オフィス)
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  • Paulo Monteiro パウロ・モンテイロ Untitled 2025 oil on linen 25.0 x 19.5 cm ©︎Paulo Monteiro
  • Paulo Monteiro パウロ・モンテイロ Untitled 2025 oil on linen 42.0 x 34.0 cm ©︎Paulo Monteiro
  • Paulo Monteiro パウロ・モンテイロ Untitled 2025 oil on wood 5.3 x 6.0 x 2.6 cm ©︎Paulo Monteiro
  • Paulo Monteiro パウロ・モンテイロ Untitled 2025 oil on wood 7.2 x 5.6 x 3 cm ©︎Paulo Monteiro
  • Paulo Monteiro パウロ・モンテイロ Untitled 2021 gouache on paper 32.5 x 27.5 cm ©︎Paulo Monteiro
  • Paulo Monteiro パウロ・モンテイロ Untitled 2025 wood h.11.0 x w.6.0 x d.5.5 cm (base) ©︎Paulo Monteiro
  • Paulo Monteiro パウロ・モンテイロ Untitled 2025 oil on aluminum h.66.0 x w.37.5 x d.26.5 cm ©︎Paulo Monteiro