小出ナオキ

個展「In These Days」

©︎Naoki Koide

<作品紹介>
小出ナオキは、自分自身や彼を取り巻く身近な人々を、デフォルメされた彫刻作品で表現します。やすりで削られた FRP(強化プラスチック)のつるりとした表面や、くすんだパステルカラーの色合い、極端に上下へ引き延ばされたような 造形は、遊園地のアトラクションや街角のキャラクター人形を彷彿とさせますが、茫洋とした彼らの表情にはどこか現世 を超越した穏やかな笑みが浮かび、パブリックな存在としてのキャラクターとはかけ離れた、親密でどこか不気味ですら あるもの静かなたたずまいを見せています。時には小さなカバやサンショウウオ、カエルや猫といった動物達も仲間とし て登場します。前回、小山登美夫ギャラリーで行った個展『marriage』では、結婚式の衣装を身にまとった作家夫妻の 像と、それらを実際に式場に設置して撮影した家族のポートレート写真が展示されました。また作家のアトリエをかたど った立体では、その屋根の上に小鬼のような奇妙な護り神の姿になった友人達が配され、人の形になった入道雲のレリー フも登場するなど、異界と現世が混ざり合う、作家の目から捉えた不可思議な日常世界が展開しました。

<この展覧会について>
『In These Days(最近のこと)』と題された本展は、『marriage』のその後の作家を追う展覧会です。メインとなる高さ3メ ートル近くの立体作品『picnic with undead』では、大きな雲の城のようなあの世ともこの世ともつかない場所で、他界 した家族と今この世に生きる作家自身や家族とが、邂逅する場面が表現されています。にこやかな笑みをたたえた雲の内 部には、作家の身の回りの日常風景がやわらかく描かれ、あたかも子供達の遊び場のようです。また、これまで繰り返し 登場してきた作家と彼の妻のカップル像、彼らを異界へと導く、トーチカを掲げた雲の精など、3点の彫刻作品と、写真 作品が展示される予定です。