山本桂輔

個展

Installation view at project room/ Tomio Koyama Gallery, Tokyo, Japan, 2005 ©︎Keisuke Yamamoto

山本桂輔は 1979 年東京都生まれ。2001 年に東京造形大学彫刻科を卒業後、同大学研究生として 2003 年まで在籍。 木彫を専門に制作してきました。現在も東京を拠点に活動を行っています。2004 年には Project Room/Tomio Koyama Gallery にてグループ展「Field of Dreams」に出品、大変好評を博しました。
彼の絵画作品には、よく森や木が登場します。鮮やかな、或いは深い色合いで表されるそれらは、山本の中で展開され るある世界の断片のように感じられます。この世界観は山本自身にとっての現実の立ち現れ方であると同時に、見るもの を惑わすトリックもまた仕掛けられています。矩形に区切られた奇妙に平面的な空、その奥に連なる森。森を見ようとす ると視線は空にはじき返され、空をなぞろうとすると森に引き込まれます。その謎を解く鍵は画面の構成の仕方に隠され ています。また彫刻は油絵具と、木、マッチを素材に制作されます。全てを合わせることにより「燃える」ということを 想起させる素材を用いて、彼は非常に有機的なフォルムの木彫を作りだします。マッチが軸足になったり、或いは触覚の ように埋め込まれたり、またその表面は或る時は乾いた粘土のように われ、また或る時は磨き上げられてつるつるし ており、まるで陶器のようにも見えます。姿形もまた様々で、何かの道具のようでもあり、生物のようにも思えます。今 回の個展では、ペインティングと彫刻を中心に展示する予定です。
作品が配されたその空間は、描かれる木々、森、また絵の中から抜けて出たかのような不思議な形をした彫刻に囲まれ、 観客は山本の描く世界そのものに入り込んだかのような錯覚を覚えるでしょう。是非この機会に御高覧下さい。