ソピアップ・ピッチ / クゥワイ・サムナン / シュシ・スライマン

「SOPHEAP PICH / KHVAY SAMNANG / SHOOSHIE SULAIMAN」

Muar 2016 soil from Muar (Malaysia), water based paint and Malaysian flags 290 x 456 cm (3 panels) ©Shooshie Sulaiman
Whispering Green 囁く緑
2018
bamboo, rattan, wire, synthetic resin, burlap, plastics, beeswax, damar resin, charcoal, oil paint
125.0 x 100.0 x 11.0 cm
©Sopheap Pich
Enjoy My Sand
2013-2015
Digital C-Print
80 x 120 cm
©Khvay Samnang

作家プロフィール

ソピアップ・ピッチ

ピッチは1971年カンボジア生まれ、幼少期ポルポト政権下の悲惨な時代の中で育ちました。1979年には情勢不安から逃れる為に、家族でタイ国境近くの難民キャンプに5年間滞在。そこでNGOが運営するアートスクールに通い、ペインティングに興味を持ち始めました。1984年には一家でアメリカに移住し、1990年マサチューセッツ大学アマースト校に入学。医学を専攻しましたが、在学時にペインティングへの興味を捨てきれずファインアート専攻に転部し1995年に卒業。その後1999年シカゴ美術館附属美術大学ペインティング専攻を修了しています。

2013年NYのメトロポリタン美術館での個展や、2012年の第13回ドクメンタへの出展など、世界中の美術館展覧会や現代美術展に多数参加し国際的に活躍してきました。2017年は第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展「VIVA ARTE VIVA」への出展及び「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」では森美術館にて作品展示をしました。また、作品はニューヨークのメトロポリタン美術館、グッゲンハイム美術館、パリのポンピドゥー・センター、香港のM+、シンガポールアートミュージアム、サンフランシスコ近代美術館等、世界各国の主要な美術館に所蔵されています。

クゥワイ・サムナン

カンボジアで最も重要な若手アーティストの一人であるクゥワイ・サムナンは、写真、ビデオ、インスタレーション、彫刻、そしてパフォーマンスなど様々なアプローチによって、歴史、文化、様々な事象についての新たな視点、解釈を探求しています。主にカンボジアという特定の文脈におけるテーマをとりあげますが、彼の作品は往々にして普遍的なものも映し出します。土地にまつわる流動性、歴史性、継続する社会的・政治的な問題に彼は興味をもってきました。

「何かについて学びたければ、十分に時間を費やし、そして本当に楽しまなければならない」。そう話すクゥワイの作品はユーモアに満ちたものが多く、一見滑稽な行為のように思えるパフォーマンスの中に、何層も意味や象徴性、問題提起をもたせるのがクゥワイの作品の特徴といえます。

クゥワイ・サムナンは1982年カンボジア生まれ、2006年プノンペンのRoyal University of Fine Artsを卒業。プノンペンのSA SA BASSAC(2011、2012、2014年)、2014年小山登美夫ギャラリーシンガポールで、2015年パリのジュ・ド・ポーム国立美術館とボルドー現代美術館、アメリカのオレンジ郡立美術館、2016年にアメリカのサンタバーバラ現代美術館、2019年にはミュンヘンのハウス・デア・クンストで個展を開催しました。主なグループ展にドクメンタ14(ドイツ、2017年)、第8回アジア・パシフィック・トリエンナーレ(2015年)、第4回シンガポールビエンナーレ (2013-14年)、「Sights and Sounds: Global Video Art」(The Jewish Museum、ニューヨーク、2013年)があります。クゥワイは2010年、2011年にトーキョーワンダーサイトのTWSクリエーター・イン・レジデンスに滞在、また2014-2015年ベルリンのBethenian Künstlerhausで滞在制作しています。

http://www.khvaysamnang.com

シュシ・スライマン

1973年マレーシア生まれ。現在、東南アジア出身の重要な現代アーティストのひとりと注目されています。
経理の仕事を経験した後、突然の父の死など精神的に落ち込んだ「自分自身を救い、癒すために」アート制作を始め、1996年マラ技術大学にて美術学士号取得。その後マレーシア国立美術館のYoung Contemporaries Awardを受賞し、2007年にはドクメンタ12に参加、2016年パリのカディスト美術財団で個展を開催するなど国際的に活躍してきました。
また2014年からはマレーシアのアーティストプラットフォーム「MAIX」に参加。様々な領域のメンバーとのコミュニティを形成し、精力的に活動しています。

日本では2008年「エモーショナル・ドローイング」(東京国立近代美術館 / 京都国立近代美術館)、2017年「サンシャワー: 東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」(国立新美術館、森美術館、東京)、同年ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」(横浜美術館他)の出展で知られ、また、2013年から続く広島県尾道市のアーティスト・イン・レジデンス「AIR Onomichi」に継続して参加。2023年には尾道市美術館で個展を開催予定です。
作品はカディスト美術財団(フランス)、シンガポール美術館、東京国立近代美術館に所蔵されています。

シュシにとってアートは「人生とともにある」と言います。人種間の亀裂が生じている現代のマレーシア。マレーシア人の父と中国人の母を持つシュシは、自身のアイデンティティへの苦悩と探求を深めざるをえず、祖国マレーシアにおける歴史や起源、自然や産業、社会情勢の変化とアイデンティティの関係性をテーマに作品に表してきました。
ドローイング、コラージュ、インスタレーション、パフォーマンス等幅広いアプローチで作品制作する神秘的な世界観は、人間と自然、アートとの分ちがたい複雑な関係性を私達に提示します。

近年には、マレーシアのみでなく、国家という領域を超えてより古く深いものに繋がる人々の血縁や遺産、古代文明、宇宙、神話、自然や手仕事が、その土地の人々のアイデンティティとどうつながっているかという、より広い観点へと変化しています。

その土地特有の土や素材を使ってドローイングを描いてまた土に埋める、マレーシアの母の墓に生えるバラと、ベルサイユ宮殿のバラを交配させて育てるなど、自身の探求するテーマを既存のカテゴリーを飛び越えて作品に表す自由な発想は、観るものに新たな視点を与えるでしょう。

また、シュシの作品制作において、変化や過程を前提とする「現在進行形」のプロセス、人々との対話・コミュニケーション、過去のアーカイブは大きなポイントとなります。
2013年から続く「AIR Onomichi」では、元八百屋の廃屋の部材を一つ一つ調査、解体し、使用可能な材料は保存して、建築・彫刻作品に使用。他の廃材は絵画等のアートワークに変容。スタジオに籠るのではなく、様々な土地に赴き、人々と対話、アイディアを共有しコミュニケーションすることは、彼女の制作や思考において根幹となる大切なスタンスとなっているのです。

1973年  マレーシア、ムアール生まれ。
1996年  マラ工科大学芸術学部絵画専攻卒業、マレーシア
クアラルンプール在住