ー 焼く土、陶芸。ー
五味謙二は1978年生まれ。早稲田大学を卒業後、沖縄県那覇市で17世紀から制作されている壺屋焼を学びました。作品制作の軸となっているのは、陶芸の焼成の工程です。作品の有機的な形は、焼成という観点から、最も理に適った形態を選んだ結果だと言います。また、土味を存分に感じる色や肌合いは、もみ殻に埋めて焼成することで得られます。
「土」で作ったモノを「焼く」というよりは、「 焼く」ためのモノを「土」で作る。
ここ6年程の「彩土器」シリーズの制作を通し、思い至ったところです。
私は「陶芸」をやりたいし、知りたい。
それだけが目的であり手段であるので、より「陶芸らしく」あるためにはどうしたらよいか。
そのようなことを日頃から考えています。 ー五味謙二
国宝土器が出土する長野県茅野市で幼少期を過ごした、五味謙二。より純粋に陶芸に向き合ったとき、地球のカケラのような作品が生まれました。本展覧会では「彩土器」と呼ばれるオブジェのシリーズと、蓋の付いた容器「ふた、モノ。」シリーズ、碗などを展示します。近年、日本陶芸展や菊池ビエンナーレで受賞を重ね、昨年は第10回国際陶磁器展美濃の陶芸部門でグランプリを受賞しました。ヴィクトリア&アルバート博物館にも作品が収蔵されるなど、活躍目覚ましい若手陶芸家の個展を、ぜひご覧ください。