» 作品紹介
大竹利絵子は樟を中心とする無彩色の木彫作品を制作しています。それらの作品は繊細でどこか不安定にみえながらも、独特の揺るぎない強さと深遠さをたたえています。それは彼女のつくり出す木彫作品の形象やその質感が、木といういわばシンプルな素材がもつ物質性から神秘性を引き出し、叙情あふれる物語を想起させるからなのでしょう。
昨年小山登美夫ギャラリーで開催された展覧会『とりとり』では、それ以前から制作していた少女のモチーフに、作家がこれからも継続して制作していくという鳥たちのモチーフが加わりました。まるで私たちの想像を羽根にのせて飛んでいくかに思えるこの鳥たちをみるとき、彫刻という表現へ真摯に向き合う作家の誠実さを感じると同時に、作品のもつ素材感が限りない可能性をもつイメージへと広がっていくのを予感せずにはいられません。
» 展覧会について
大きな少女と小さな少女のインスタレーションが、サイズを違えて2組登場する予定です。『夢みたいな』というタイトルは「夢」と「現実」の区別自体を超えた、大竹の作品そのものによってしかつくり出せない世界、また作品のイメージや形態を通してしか出会えない世界を意味しています。普段よく使う樟に加え榧(かや)の木も使用した、前述の作品を含む新作6 – 7点を展示いたします。是非ご高覧ください。
» 作家プロフィール
大竹利絵子は1978年、神奈川県生まれ。2002年に東京芸術大学美術学部彫刻科を卒業。2004年同大学院美術研究科彫刻専攻修了、2007年同博士課程を修了しました。現在も神奈川を拠点に制作活動を行っています。
2005年第9回岡本太郎記念現代芸術大賞展入選。2007年、東京芸術大学大学美術館陳列館で開催されたグループ展『物語の彫刻』展に、小谷元彦、棚田康司らと共に出展。今年8月には東京藝術大学大学美術館陳列館でのグループ展『彫刻 – 労働と不意打ち』に出展しました。小山登美夫ギャラリーでは、昨年に続いて2度目の個展となります。