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ソピアップ・ピッチアーティストトーク *終了致しました。ご来場の皆様誠にありがとうございました。
本展覧会や作品について語る、アーティストトークを開催します。※日本語通訳あり
日時:2017年11月4日(土)16:00-18:00(開場 15:30)
会場:8/ COURT (渋谷ヒカリエ8F、8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery向かい)
要予約、入場無料
∗下記の内容にてメールでご応募ください
event@tomiokoyamagallery.com
件名:「11/4トークイベント参加希望」
本文:お名前/連絡先/参加人数
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*ソピアップ・ピッチ制作風景
(現在出展中の第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展「VIVA ARTE VIVA」関連動画)
https://www.youtube.com/watch?v=zFypnrjhhiM
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小山登美夫ギャラリー(六本木)と8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery(渋谷ヒカリエ)では、カンボジアを代表する現代アーティスト、ソピアップ・ピッチの日本初個展「desire line」を同時開催致します。
【作品、作家に関して】
ソピアップ・ピッチの作品は、木々や花などの植物、人間の解剖学や、都市構造などからインスピレーションを得た、有機的かつ幾何学的な立体作品です。竹やラタン、ワイヤー、蜜蝋など、地域に根ざした素材を用いて目の粗い織り方で制作されているのが特徴で、透明性があり軽く見えながらも、機能的な構造による圧倒的なボリュームにより、空間全体にエネルギーが溢れ出ているように感じます。
ピッチは今までに2013年NYのメトロポリタン美術館での個展や、2012年の第13回ドクメンタへの出展など、世界中の美術館展覧会や現代美術展に多数参加し国際的に活躍してきました。今年は第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展「VIVA ARTE VIVA」への出展(11月26日まで)及び「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」では森美術館にて作品展示(10月23日まで)をしました。また、作品はニューヨークのメトロポリタン美術館、グッゲンハイム美術館、パリのポンピドゥー・センター、香港のM+、シンガポール美術館、サンフランシスコ近代美術館等、世界各国の主要な美術館に所蔵されています。
【幼い頃の文化や地域の記憶の影響】
ピッチは作品のテーマに関して次のように語ります。
「全ての作品にテーマがある。貧しさ、内と外との関係性、はかなさと堂々とした大きさの関係性、軽さへの感覚、相互依存の比喩である。」
(Brian Curtin「ソピアップ・ピッチへのインタビュー」Flsh Art、2010年1-2月号)
そこには、幼い頃の文化や地域の記憶が影響されています。 ピッチは1971年カンボジアに生まれ、幼少期ポルポト政権下の悲惨な時代の中で育ちました。1979年には情勢不安から逃れる為に、家族でタイ国境近くの難民キャンプに5年間滞在。そこでNGOが運営するアートスクールに通い、ペインティングに興味を持ち始めました。1984年には一家でアメリカに移住し、1990年マサチューセッツ大学アマースト校に入学。医学を専攻しましたが、在学時にペインティングへの興味を捨てきれずファインアート専攻に転部し1995年に卒業。その後1999年シカゴ美術館附属美術大学ペインティング専攻を修了しています。
その後ペインターとして活動していく中で、作品表現に苦悩し模索した結果、再度母国と繋がりを持つために2002年カンボジアに帰国します。そこで彼はいよいよ、制作においてペインティングの表現の制限性は不十分だと感じ始めました。一方立体作品制作においては、一連の作業プロセスを経ることで、子供の頃に作った道具やおもちゃのように3次元の作品を制作することができるため、2004年にはスカルプチャーに転向。最初の立体作品(肺の形の作品「Silence」)を作り出します。その時のことをピッチは、「ペインティングを制作することは闘いであったが、この作品(「Silence」)をつくることで制作することの喜び、アート作品としてでなく、単に素材と遊ぶことで作ることの喜びを初めて感じた瞬間だった」(ソピアップ・ピッチプレゼンテーション、Asia Art Archive in America、2011年)と語っています。
カンボジアに帰国し、農村での生活に戻り、周辺に見えるものはすべて自然。農村地帯では納屋も竹を編み、土と稲藁をまぜたもので覆っていく。 それらは手作りで、とても美しく見える。そんな自然や手作業、工芸への畏敬の念から、地域に根ざした自然の素材を使い、そして構造的には大学時代に学んだ医学や数学的なフォルムをベースにする。それはその当時の情勢に影響され様々な環境に移り住みながらも、そこで得た経験を反映したピッチならではの表現形態となっています。 そしてそれは、工芸と素材の必要性、関係性を、形而上学的、哲学的、存在論的に洗練させているともいえるでしょう。
【ものを作ることへの喜び、柳宗悦、民芸からの影響、国際的な評価】
ピッチは自らの作品制作に関して、次のように語ります。
「私は46歳になるが、まだ自分が小さな子供のように感じている。なぜなら私にとってアートとは遊びであり、物事を試してみることだからだ。」 (ソピアップ・ピッチインタビュー、NBC 5 Dallas-Fort Worth、2017年)
「彫刻を作るために、刃を立ててラタンや竹を薄く切ったり、ワイヤーを結んだりすることは、とても瞑想的なことだ」
(Naima Morelli「The Importance of Craft: Sopheap Pich at Venice Biennnale 2017」Cobo Social、2017年)
「私の作品は、人々にゆっくりしたペースをもたらし、時間や労働に価値を与え、自由や可能性の感覚を与えるだろう。」
(ソピアップ・ピッチインタビュー、Lotus Lens、2017年秋号)
社会的、政治的な要素について聞かれるとき、ピッチはいつも意識的に反映しているかを明確にはしていません。影響はあるが、それは自分の記憶の一部としてであるということ、それよりもピッチにとって作品制作とは、社会的、政治的なコンセプトを通してでなく、素材を通して自分自身を表現することがより重要なことなのです。また、柳宗悦による工芸の精神、民芸運動の影響も強く受けています。日用品に精神を見出し、アート、哲学、宗教などの境界がない本質的な世界や、素材の扱い方をベースとした考えは、ピッチのアートへのアプローチにも通じます。
カンボジア人としてのソピアップ・ピッチという国民性は、一つの情報であり、結論ではありません。
「ピッチの作品や素材は、国境を越えた世界そのものと、人の志向性の間にある」
(Carolyn Christov-Bakarviev「”LIVE LIKE A FROG AND DIE LIKE A SNAKE”: CONVERSATIONS WITH SOPHEAP PICH、ソピアップ・ピッチ個展カタログ、Tyler Rollins Fine Art、2013年)
それが、ピッチ作品が国際的にも評価を得、世界中の多くの人々を魅了する所以といえるでしょう。
【本展「desire line」に関して】
本展タイトルである「desire line」は、日本語で「けもの道」を意味します。今年2017年フロリダのラウシェンバーグレジデンシーで滞在制作した際、そこにけもの道があり、森の中でヒトが踏み固めることで自然発生的にできる道の面白さを感じてこのタイトルを思いついたといいます。
本展では13点の新作を発表致します。出展作の「Miroiise」「Moonstone」は、大理石やローズウッドの根を素材とし、彼の3次元作品の探求においてより抽象的かつ深みのある方向性が表現されています。また、新しい大規模のドローイングは、自然界の顔料を使って細く裁断された竹の棒を繰り返し紙の上に押し当てて制作されており、作品平面の中に響き合うリズミカルな線を生み出しています。これらの作品は、今年のヴェネツィア・ビエンナーレで展示したドローイング作品の発展形となります。
待望のソピアップ・ピッチ日本での初個展、是非この貴重な機会にご高覧くださいませ。
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プレスに関するお問い合わせ先:
Tel: 03-6459-4030 (小山登美夫ギャラリー オフィス)
Email: press@tomiokoyamagallery.com (プレス担当:岡戸麻希子)
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