青木良太 展「自然のチカラとの共生」 ー炎のチカラ、土のチカラ、釉薬のチカラー

©︎ Ryota Aoki

シャープで洗練されたフォルムに、豊かに輝く玉虫色の光沢、はたまた溶岩を思わせる黒いうつわ。青木良太は陶芸の伝統を踏まえながら、現代的な感性で、茶道具からワイングラス、彫刻、インテリアに至るまで作品を発表してきました。釉薬を磁土に混ぜ込む独自の技法や、金、銀、プラチナなどを用い、何万ものテストピースによる研究を続けることで、シーズンごとに最新モードを提案するファッションデザイナーのように、様々なスタイルを提案します。本展覧会では、今年から取り組みはじめた薪窯で焼いた新作を中心に展示します。

「土」がカタチを教え、「釉薬」が表現の幅を広げてくれる、そして次なる挑戦として彼は、敢えてコントロールの難しい薪窯で「炎」と対話したいといいます。炎のチカラに託す想像を超えた何かが加わる『土』『釉薬』『炎』すべて自然のチカラパワーを借りて作品をつくり上げるぼくは、ただのきっかけでしかない自然と会話する             − 青木良太

大量の薪をくべて何日もかけて窯を焚く工程は、陶芸家に、より素朴かつ純粋に作陶に向き合うことを求めます。青木の新たな挑戦が、どのような表現に結実するのか、ぜひ会場でご高覧ください。

青木良太は1978年富山県生まれ。2004年には、École des Arts Décoratifs de Genève(スイス)に研修生として招かれました。現在は岐阜県土岐市で制作しています。Sidney Myer International Fund Ceramics Award・銀賞(04年)、International Triennial of Silicate Arts・銀賞(05年、ハンガリー)、テーブルウェアフェスティバル・グランプリ(06年、日本)、4th World Ceramic Biennale 2007 Korea・銀賞(07年)、台湾国際陶芸ビエンナーレ・特別賞(08年)など世界で数多くの賞を受賞し、国内外で個展を行ないます。一方で、陶芸界を盛り上げるために旗上げされた陶芸家による組織「IKEYAN★」のリーダーとしても活躍、陶芸家のためのSNS【potter】(potter.cm)を立ち上げたり、陶芸ゲーム【I'm a potter】(imapotter.com)を制作中です。ファッションやデザインの分野とのコラボレーションも行いながら、陶芸の魅力を広く伝えています。