アダム・シルヴァーマン

「Blue」

untitled 2016 clay and glaze h.26.0 × φ25.0 cm ©Adam Silverman

新しいものを生み出すエネルギーを余すことなく秘めたアダム・シルヴァーマンの作品は、研磨されていない、大地から採掘されたばかりの鉱物のような神秘的な存在感を放ちます。アーティストとしてだけではなく、熟練した職人として自らを定義するシルヴァーマンは、陶芸という分野にとらわれることなく、古典的かつ現代的な表現方法を旺盛に探究し、焼成の過程でおきる偶発的な造形をも作品に昇華します。梅花皮にも似た、かさぶたや溶岩を彷彿させる質感は、たおやかな有機体のリズムを感じさせ、卵や、私たちの身体の緩やかな丸みにも似た形は、あたかも抽象的な自然を表現しているかのように、私たちの生活空間にも溶け込みます。また、大学で建築を学び、コルビュジエをはじめとする20世紀の偉大な建築家に多大な影響を受けたシルヴァーマンの幾何学的かつあたたかみのある陶芸作品は、近代建築にも通じるといいます。
小山登美夫ギャラリーでの4度目の個展となる本展覧会では、「青」をテーマとした新作を展示します。建築的感覚や、自然のフォルム、素材に対する鋭い感性を込めた、シルヴァーマンの陶芸作品をこの機会に是非ご高覧ください。


今回の展覧会では、青色や、様々な青の組み合わせ、重なりに焦点を当てます。 今回出展する作品の多くは、普段制作を行っているロサンゼルスのスタジオで制作しましたが、数点は大西洋にほど近く森林の緑の中に佇む、ロサンゼルスとは光、空気、色全て異なるロード・アイランドの夏のスタジオで制作しました。 (アダム・シルヴァーマン)

アダム・シルヴァーマンは1963年ニューヨーク生まれ。建築とアートを学んだ後、カリフォルニアに移住。ファッション・ブランド「X-LARGE」の創設メンバーとしても知られます。陶芸家としての活動を2002年より開始。ヒース・セラミックスのスタジオ・ディレクターを経て、現在はカリフォルニアにある自身のスタジオを拠点に制作しています。「BOOLEAN VALLEY」(建築家ナーダー・テラーニとのコラボレーション、ロサンゼルス現代美術館、2009年)、「Reverse Archaeology」(キンベル美術館、テキサス、2012年)、「Clay and Space」(ラグナ美術館、カリフォルニア、2013年)などをはじめとして、アメリカを中心に精力的に個展を開催。作品はロサンゼルスカウンティ美術館、テキサス州ダラスのナッシャー彫刻美術館や、イスラエル美術館などにも収蔵されています。