8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryでは、陶芸作家8名によるグループ展を開催いたします。豊かな陶芸の長い歴史を受け継ぎながら、それぞれの表現と技法を探求し続ける、8名の陶芸作家の作品をご堪能ください。
1976年生まれの岡崎裕子は、(株)イッセイミヤケでの勤務を経て陶芸家の森田榮一に弟子入りしました。現在は横須賀に工房を構え、海と山に囲まれた豊かな環境のなかで、羽黒トンボなど自然をモチーフにした器を、特徴的な白いマット釉で焼き上げ、生活に馴染む作品を制作しています。
岡崎と同じ76年に生まれた川端健太郎は、2001年岐阜に築窯し、パラミタ陶芸大賞展で大賞を受賞しました。大胆で独創的な造形を、ガラス釉などが纏うオブジェ作品は、人の生理的な感覚に訴えます。今年11月に個展を予定しております。
同じく岐阜で制作を行う桑田卓郎は、1981年生まれ。ポップな色彩に、梅華皮(かいらぎ)や石爆(いしはぜ)など、陶芸の世界で珍重されてきた景色を独自に昇華した作品は、ニューヨークやブリュッセルなど海外でも高い評価を得ており、来年はロンドンで個展開催の予定です。
焼成という陶芸特有の工程に魅せられたのが、1978年生まれの五味謙二。早稲田大学を卒業後、沖縄で壺屋焼を学びました。造形は、焼成に最も適した形が選択された結果と言いますが、もみ殻に埋めて炭化焼成することで得られる風合いと相まり、独特の個性を放ちます。
唯一の海外作家となるアダム・シルヴァーマンは、1963年生まれ、2008年より2014年までHeath Ceramicsのスタジオディレクターを務めました。ロサンゼルスで作陶を続けていますが、日本の民芸にも高い関心を持ち、溶岩を思わせるテクスチュアは、抽象化された自然を感じさせます。
1977年生まれの田淵太郎は、出身の香川に2007年に薪窯を築窯し、白磁を制作してきました。一般的にはより白いことが求められてきた白磁ですが、田淵の白磁は、洗練された器形のなかに炎の作り出した窯変(ようへん)が見どころです。
1977年生まれの新里明士は、早稲田大学で陶芸サークルに所属した後に、川端、桑田と同じ多治見市陶芸意匠研究所で陶芸を学び、岐阜に工房を構えました。白磁に穴を開け、穴に透明の釉薬を埋めて焼成する手法は、光を透かす姿から蛍に例えて「蛍手(ほたるで)」と呼ばれ、洗練された高貴な雰囲気です。
本展で最も陶歴の長い吉村昌也は、1938年生まれ、1974年に笠間に築窯(なずな窯)しました。「吉村粉引」とも呼ばれる、独自の造形に青白く輝く肌は凛として、作品は大英博物館などに収蔵されていますが、使い勝手の良さから世界中に愛好家を持ちます。