2014 FIFAワールドカップ・ブラジル™ オフィシャルアートプリントエディション展

展示予定作家: アローラ&カルサディーラ、ジャン=ミシェル・バスキア、キース・へリング、川島秀明、ウィリアム・ケントリッジ、ジェフ・クーンズ、フェルナン・レジェ、ヴィック・ムニーズ、大岩オスカール、ガブリエル・オロツコ、ジェームズ・リジィ、ケヒンデ・ウィリ、ロシェル・コスティ

オフィシャルアートプリントエディション2014 FIFA ワールドカップ・ブラジルは、FIFAが世界中から23人のアーティストを選び、サッカーやブラジルの生活、祝祭をテーマとして制作したポスタープロジェクトです。ジャン=ミシェル・バスキア、キース・へリングといった歴史上のアーティストから、ジェフ・クーンズ、ヴィック・ムニーズ、ウィリアム・ケントリッジ、ガブリエル・オロツコまで名だたるアーティストたちと共に、日本から川島秀明、またブラジルと日本の関係が深い大岩オスカールが選ばれています。来年2014年にブラジルで開催されるFIFAワールドカップをカルチャーの面からも盛り上げるこの公式プロジェクトにおいて、小山登美夫ギャラリーでは全23点の中から、13点をセレクトした展覧会を企画いたしました。世界トップクラスのアーティストによるオフィシャルアートプリントをこの機会にぜひご覧下さい。

オフィシャルアートプリントエディション2014 FIFAワールドカップ・ブラジルの公式ホームページhttps://www.artbrasil2014.com/wm2014/en/(英語のみ)

【展示予定作品】
ジェニファー・アローラ(1974- 、アメリカ)とギレルモ・カルサディーラ(1971-、キューバ )は二人組のアーティストで、現在プエルトリコ在住、制作をしています。彫刻、写真、パフォーマンス、音楽や映像などで詩的でユーモアのある作品をつくり出し、ミュンヘンのハウス・デア・クンストやロンドンのサーペンタインギャラリーなどで個展を多数開催、また2011年ヴェネチアビエンナーレアメリカ代表にも選出され、国際的に活躍しています。2014FIFAワールドカップ・ブラジル™オフィシャルアートプリントエディションのために、彼らは熱帯雨林の川の上にボールとネットを投げ込む試みをし、ボールとネットが描く様々な軌道や形を写真で撮影しました。今回選ばれたショットは、飛んでいるボールやネットによりまるで水の上をゴーストが空中停止しているようなシュールな光景が写し出されています。サイズ: 112.3×77.1cm     

ジャン=ミシェル・バスキア(1960-1988、アメリカ)は、1970年代末からグラフィティ、ストリートアーティストとして出現して以来、1980年代までアート界で最もメディアに登場し称賛された人物のうちの一人です。バスキアのペインティングは文字、コラージュとイメージで満ちており、1988年の彼の死以来、バスキアはアート界において他に類のない存在であり続けています。アートマーケットブームの頂点の2007年には、彼の作品の価格は劇的に急上昇し、バスキアの著名なコレクターとしてマドンナやレオナルド・ディカプリオが名を連ねます。Official Art Print Edition 2014 FIFAワールドカップBrazil™の彼の作品は緑のスポーティーな服装の肖像です。描かれている人物はバスキアの友人の一人であるデズモンド・カドガンで、アンディ・ウォーホル、マドンナやキース・ヘリングなどのグループの一員でもありました。サイズ: 112.3×81.4cm

キース・へリング(1958-1990、アメリカ)はたぐいまれなグラフィック表現で世界中に知られています。NYの地下鉄構内の壁に絵を描く活動で彼の経歴は始まり、卓越したラインと直接的なメッセージにより生と死、愛、セックス、戦争を表現しました。ヘリングは広く人びとを引きつけ、彼のイメージは20世紀において国際的に広まりました。1980年代の短く激しい経歴の間に100以上の個展とグループ展が開催され、今日でも世界中の主要な美術館の展示とコレクションで見ることができます。ヘリングの今回の作品「パラジウム」では、カラフルなモザイクの背景の前でダンスのような動きで絡み合い、人物が相互に影響し合っている様が描かれています。サイズ: 112.3×79.0cm

川島秀明(1969-、日本)は、現在東京に制作の拠点をおき、作品にはモチーフの構図の巧みさと相まった霊妙な美しさがあります。川島はしばしば頭部のみの女性像を、しなやかな曲線と明るい色彩で描き、そのアーモンドのような形をした目には、作家独自の表現が見られます。近年の日本のアートシーンにおいて活躍が期待されるアーティストの一人であり、作品は村上隆のキュレーションによってニューヨークで開催された「Little Boy」ほか、世界各国のグループ展で紹介されています。Official Art Print Edition 2014 FIFAワールドカップBrazil™の彼の作品は、均整がとれ、完璧な美しさを見せる"ヘディング"のイメージです。サイズ: 112.1×102.1cm

ウィリアム・ケントリッジ(1955年、南アフリカ)は、版画やドローイングなど伝統的な素材や技術から革新的なショートムービー、大規模なインスタレーションや劇場での演劇まで幅広い表現方法を用い、社会的政治的問題をテーマとしています。批評家、研究者、アートディーラーや一般市民から国際的な称賛を受け、賞を獲得しました。過去2年間ではニューヨークのメトロポリタン劇場とMOMAやパリのルーブル美術館、ミラノのスカラ座などで作品を発表しています。今回のケントリッジの作品"Bicycle Kick"は、元々はOfficial Art Print Edition 2010 FIFA World Cup South Africa™のために制作されたもので、発表されるとたちまちシリーズの象徴ともいえるビジュアルとなりました。今日ではフットボールを主題としたアート作品の最高のもののひとつと数えられており、今回、Official Art Print Edition 2014 FIFA World Cup Brazil™のために再制作されることになりました。サイズ: 112.3 x 79.0 cm

ジェフ・クーンズ(1955年-、アメリカ)は、現代で最も成功したアーティストとしてだけでなく、"post-pop"のスーパースターとも言われています。しかしクーンズはそのような評価に対し、次のようにコメントしています。「鑑賞者は、最初私の作品に皮肉を見いだすかもしれません。しかし私にはそれはまったく見いだせません。皮肉はあまりにも多くの批判的な考えを引き起こすのです。」クーンズの重要なポイントは、彼の作品に隠された意味があることを否定することです。意味は最初に見た瞬間に受け止められたものだけなのです。クーンズは掃除機や洗剤などの日用品や一般的な文化の象徴を、アート作品に転換させます。現代の消費世界を批判するよりも、彼はそれを賛美するのです。そのため彼の作品は両極端の反応を受けています。2007年、「セレブレーションシリーズ」の彼の作品"Hanging Heart"はニューヨークのサザビーズで2360万ドルもの値をつけ、その時現存作家のオークションの中で、最も高価な作品となりました。「セレブレーションシリーズ」は1994年の彫刻作品"Ballonn Dog"が最初となるシリーズで、その中のペインティング16作品のうちの一つに、今回のイメージとなる"Pink Bow"があります。2014年、「セレブレーション(祝祭)」はきっとやってくることでしょう…サイズ: 98.4 x 112.2 cm

フェルナン・レジェ(1881-1955、フランス)はフランスの画家、彫刻家であり、映画等でも作品を残しました。彼の初期の作品は印象派やキュビズムの影響をうけていましたが、後により人間的、大衆的なスタイルに変わり、大胆でシンプルな現代的な主題を用いたため、ポップアートの先駆者とされています。第一次世界大戦の経験により、人物や物体をパイプや機械のように描くようになりましたが、1927年、レジェの作品の人物は徐々に有機的で不規則な形となっていきます。1935年にはニューヨークのMOMAで個展が開催され、第二次世界大戦の間はアメリカに在住していました。1954年、彼はサンパウロオペラのモザイク画の制作を始めましたが、この作品はレジェが生きている間に完成されることはありませんでした。この作品"Sao Paulo"は、彼がブラジルに滞在している間の1953年に制作されたタピスリーであり、現在ではNYのJane Kahan Galleryで展示されています。サイズ: 112.3 x 76.0 cm

ヴィック・ムニーズ(1961-、ブラジル)は現在ニューヨークに制作の拠点をおき、世界的に活躍しているブラジル出身のアーティストの一人として知られます。ムニーズは彫刻家としてそのキャリアを始めましたが、次第に写真を用いた制作に興味を持つようになりました。彼は写真を撮るにあたって、様々な素材を組み合わせます。ゴミ、ダイアモンド、砂糖、紐、チョコレートシロップ、生ゴミなどの素材を使い、報道写真や美術史上の名作のイメージを、ウィットの効いただまし絵のように再現するシリーズ等を制作してきました。ムニーズの展覧会は世界的に開催されており、「Pictures of Garbage Series」をはじめてブラジルで発表した、リオデジャネイロ近代美術館での彼の個展は、同館のパブロ・ピカソ展に続き、2番目に多い観客動員数を記録しました。ドキュメンタリーフィルム『ヴィック・ムニーズ/ごみアートの奇跡』(原題『Waste Land』)は、リオデジャネイロ郊外にある世界最大のゴミ処理場「ジャジン・グラマーショ」で制作した作品などを取り上げており、2010年の東京国際映画祭ほか、各国で上映されました。そしてこのプロジェクトによる収益はすべて「ジャジン・グラマーショ」の人々に還元されているといいます。サイズ: 112.1 x 84.7 cm

大岩オスカール(1965-、ブラジル)は日系ブラジル人としてサンパウロに生まれ、アートシーンにおけるグローバリズムを感じさせるアーティストの一人でもあります。2002年にグッゲンハイム奨学金を得て、現在はニューヨークに拠点をおきます。世界各国で多数の個展が開催されており、福島県立美術館や東京都現代美術館をはじめとして、日本でも多くの展示歴があります。大岩の作品は、西洋の印象派やSF映画などと同時に、日本の習慣や伝統、漫画など、混在し、相互に影響し合った様々な国の文化が、彼にインスピレーションを与えていることを感じさせます。大岩は今回の作品について、次のように話しています。「私はオオハシやバナナやカーニバルのようなありふれたものではなくて、ブラジルについて世界の人が知らないことを知ってもらいたかったのです。アーティストとしての私の役割ははなから明らかで、ブラジルの文化的な豊かさをいかにシンプルに紹介できるか、ということです。私の作品の視覚的要素は、ブラジルのあらゆるものからの参照で、それはたとえば、料理であったり、民間伝承や、チープなつくりのもの、民芸品です。作品の中で子供が遊んでいるボールは、南十字星の1つの星を表していて、その他にもたくさんのシンボルが登場します。メインのキャラクターはブラジル、ペルナンブコのカルアル地方でつくられた粘土の人形からインスパイアされたものです。後ろのこまごまとしたものや、サッカーをしている空き地、鍋、パン、古いスタイルのキッチンは、すべて同じ粘土という素材でできていて、そしてかつて"ブラジルの精神"というものを共有していたものなのです。」サイズ: 112.3 x 79.2 cm

ガブリエル・オロツコ(1962-、メキシコ)は、この10年の間で最も影響力があり洗練されたアーティストのうちの一人であり、ドローイング、写真、彫刻、インスタレーション、ペインティングと表現形態が多岐に渡ります。オロツコは、作品の中で、「アート」と「現実」を故意に融合させました。たとえば通常の幅の3分の2に減らされたシトロエンの車や、黒鉛の網に覆われた人の頭蓋骨など、彼の多くの作品は確実に1990年代のアートの名作になりました。オロツコは1990年代初めからパリ、ニューヨーク、メキシコシティに移り住み、ニューヨークのMOMAやパリのポンピドゥーセンター、ロンドンのテートギャラリーやベルリンのグッゲンハイムで個展を開催。数々の賞を受賞しました。オロツコはメキシコシティにいた幼い頃からサッカーの大ファンで、彼の作品の多くはスポーツに関連しています。今回の作品"Blindside Run"はオロツコの有名な「原子論者」シリーズから選ばれました。オロツコは個人のすぐれた才能、倫理や集団のパフォーマンスの驚くような光景を演出しています。サイズ: 106.6 x 112.2 cm

ジェームズ・リジィ(1950-2011、アメリカ)は、3Dアートワークと紙の彫刻、特に巨大で精巧な版画や人々、車、動物等がたくさんいる都市の風景画で最も有名になりました。リジィの作品のお茶目で子どもらしい形や明るい色彩はすべての年齢層から世界各国での支持を得、パズル、器や車、電車、ジェット機、家まで多種多様な日常的なものを、自身の特徴的なスタイルで彩りました。生涯を通じ子供の福祉などを中心とした数々のチャリティーに貢献し、2008年リジィは現存のアーティストでは初めて、ドイツ政府により公式郵便切手の制作を依頼されました。ドイツのボクサーのリングコートデザインや日本の鉄道会社の広告の作品もあります。今回の作品"A Fun Time To Be A Fan"は、とても楽しそうな男性と女性のチームのサッカーの試合が描かれています。サイズ: 77.1 x 112.3 cm

ケヒンデ・ウィリ(1977-、アメリカ)は、ニューヨークを拠点に活動している肖像画の作家で、堂々としたポーズの男性を非常にリアルに描くことで知られています。ウィリの作品のスタイルはゲインズバラやティツィアーノ、アングルなど伝統的な肖像画家と比較されており、巨匠達のペインティング作品を参考にしながらウィリはフランスのロココ時代や、イスラムの建築、西アフリカのテキスタイルから都会的なヒップホップまで、時代を超え融合したスタイルを創り出しました。彼の等身大より少し大きい肖像画は、彼が路上で見た若い男性の写真を基にしており、ハーレムの125通り、ウィリが生まれた場所の近くのサウスセントラルの男性を描いています。ストリート風の洋服を着たモデルは、あたかもルネッサンスの巨匠の画家にポーズをとるように依頼されているかのようです。今回選ばれたウィリの作品"World Stage:Brazil"の中に、贅沢で豊かなブラジルの色彩が表されています。"World Stage:Brazil"シリーズは、様々な職業のアフロブラジリアンの肖像画のシリーズで、この作品は若く自信のあるブラジルの若い世代を描かれています。サイズ: 112.3 x 77.9 cm

ロシェル・コスティ(1961年-、ブラジル)は現在サンパウロで制作をしているブラジル人アーティストです。コスティは若い頃から写真の仕事を始め、建築とコミュニケーション学と広告を学びました。彼女の作品は、現代の習慣や儀式の陽気な、しかし誠実な記録となっています。作品の中でコスティは社会的に関連したものを表現するように努めており、たとえば彼女の作品"Rooms"はサンパウロやその近辺のベッドルームの写真のシリーズです。これらの写真の中で、彼女は鑑賞者に人々の生活の詳細を徹底的にじっくり見せます。彼女は最小限な美的で政治的な記録をし、またそれが文化の深い研究にもなっているのです。今回の作品"Bigger Than"は、職人により手作業で作られた2つの木のオブジェが合わさることにより、スペースの寸法の認識が変えられたような錯覚を引き起こさせ、本当のものの「サイズ」や、サッカーがブラジル人の生活を占めている「スペース」に疑問を呈しています。サイズ: 112.3 x 75.6 cm