【作品紹介】
シュテファン・バルケンホールは、動物や人物をかたどった木彫作品を制作します。巨大な丸太を台座に見立て、その上に掘り出された小さな人物の全身像は、風景や幾何学模様が刻まれた長方形のレリーフを背景に背負い、凛とした風情で屹立しています。
かと思えば人間の頭部だけが拡大された彫刻や、絵画作品のように顔のポートレートだけが彫り込まれたレリーフ、架空の動物など、その形態は様々ですが、ミニマルアートやコンセプチュアルアートが台頭し始めた70-80年代においても、彼は一貫して具象彫刻のスタイルを貫いて来ました。荒削りな木肌を生かし、大胆な省略を施した造形は、モチーフを生き生きと描写しながらも、同時に最もミニマルな形を模索しているように思えます。
背後のレリーフと手前の彫刻による2次元と3次元の実験、1つの個としても複数の群像としても配される彫刻によって構成される空間の問題など、再現的な方法をとりながら、彼の作品には極めて同時代的な視点が宿っているのです。
【展覧会について】
本展では、およそ16点の新作彫刻を展示致します。
3m×3mのレリーフをバックにした、高さ2mの木彫のほか、ヴァリエーション豊かな大作が並ぶ予定です。どうぞこの機会にご高覧ください。