【作品紹介】
中園孔二は弱冠23歳ながら、これまで発表してきたペインティング作品の中で、実に様々な表情を見せています。キャンバス上で幅広の絵筆が踊るような豊かな筆触を見せるペインタリーな作品から、この世代のアーティストなら誰もが子供の頃から慣れ親しんだであろう、テレビゲームのピクセルで構成されたような作品、取り憑かれたような、クレヨンの色と線の洪水が観るものに迫ってくる作品。また中園のアトリエに大量に描きためられていた40cmほどの小作品では、軽妙なタッチでお化けのような、無表情でどこかユーモラスな生き物が登場します。中園自身は、絵を描く時の動機について、次のように語っています。
誰か人と会った後に何か描けるような気がして、出来上がることがほとんどです。出来上がる表面はばらばらに見えますが、すべて自分の見てみたかった景色です。(中園孔二、2013年)
“見たかった景色”を表出させるために、キャンバスの大きさや表現を自由に変えられる中園の軽やかさは、絵具やクレヨンといった素材と、絵画というものに対する、ほとんど盲目的とさえいえる信頼と愛好、そして冒険心に支えられているように思えます。個々にも絵的に美しい部分は、中園のペインターとしての高揚感に満ち、それを集めるように組み立てられた作品からは、豊かな景色が立ち現れます。
【展覧会について】
本展覧会は、大小さまざまなペインティング作品を中心に、インスタレーションによって構成されます。また展覧会初日のみ、効果音の上演も行う予定です。小山登美夫ギャラリーの展示スペースの中で最も大きな東京、清澄のスペースを使って、中園はどんな空間をつくり上げるのか。みなさまぜひご高覧ください。