作品紹介
バトラーは、具象と抽象の境界をなぞるような、風景や木々のペインティングで知られています。今回の新作では、木のモチーフを更に分解し、より深く抽象の世界に踏み込んでいます。単純化されたフォルム、コトラストがはっきりした色、多様な痕跡とブラッシュストロークは、ピエット・モンドリアンや、アメリカ抽象表現主義のアーサー・ダヴ、ミルトン・アヴェリー、またフランク・ステラやバーネット・ニューマンの作品を想起させます。このような、装飾芸術とキッチュの要素を基準点として組み合わせながら、バトラーはコンテンポラリー・ペインティングにおいて、ユニークな瞑想的時間を提案しているとも言えるでしょう。
展覧会について
本展では、昨年から鎌倉・東京・日光に滞在し、その間に制作した新作をご紹介いたします。大ペインティング4点と小ペインティング8点、また初めて公開する、色鉛筆や水彩によるドローイング約10点もあわせて展示される予定です。是非この機会にご高覧ください。
作家プロフィール
ベンジャミン・バトラーは1975年カンザス州生まれ。1997年カンザスのエンポリア州立大学を卒業後、2000年、シカゴ・アート・インスティテュート修了。現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に制作活動を行っています。ウィーンのGalerie Martin Janda、テキサス・オースティンのLora Reynolds Gallery、ベルリンのGalerie Michael Zink、ロサンゼルスのKaryn Lovegrove Galleryなどで個展を行い、小山登美夫ギャラリーでは2007年の『Leafless Trees and Sakura』以降、3年ぶり3度目の個展です。05年ニューヨークのP.S.1で開催された『Greater New York』など、数多くのグループ展にも参加しています。