1960年代以来、オノ・ヨーコはアーティストとして世界にひらめきを与えるメッセージを発信してきました。その創造的活動への原動力には、一貫して「平和と自由への祈り」 というテーマがあります。 オノ・ヨーコの作品は、社会の規範や固定された価値観へ疑問を投げかけ、そして特に社会が変化を迫られる時に、人々それぞれの想像力に働きかけることで未来への力を与えてきました。
2011年7月オノ・ヨーコは「美術の分野で人類の平和に貢献した作家」として第8回ヒロシマ賞を受賞し、受賞記念展を広 島市現代美術館で開催しました。その“希望への路”という個展タイトルには広島と長崎の被爆からの復興、そして日本がまさに今直面している地震と津波そして原発事故による被災からの復興への強いメッセージが込められました。広島と長崎の市民が不屈の精神と叡智の力で深い悲しみと苦難を乗り越えてきたその力が世界に希望の光を与えるのです。
人類の最高の叡智は、私たちみんなが持っている超能力です。それはいざという時に、意識の奥から出てくる叡智に輝く力で、念願だけで山を動かすこともできる凄い力です。
(オノ・ヨーコ「人類の叡智の力を信じましょう」2011 より)*
オノ・ヨーコは私たちそれぞれが持つ想像力と超能力に、まるで「灯をともす」かのようにメッセージを送り続けます。
私の愛があなたの超能力を引き出す力になってくれることを祈って。
(オノ・ヨーコ「人類の叡智の力を信じましょう」2011 より)*
小山登美夫ギャラリーでの展覧会「灯 あかり」では、震災を受けた日本に灯をもたらすような、数々の作品を展示します。《灯への道》は、観客が巨大な迷路の中を歩き、暗闇を抜けた先に光を見つける作品。《ミエナイ人タチ》、暗闇の中のほのかな光にうつし出される透明な人型のオブジェ。広島市現代美術館で展示された《ノコリ》、東日本大震災で倒壊した家の部材、家具を再建への願いを込めて並べた作品の再制作。また、同作品の一部に基づいて、今回の「灯 あかり」展のために制作した新作エディション作品《AIR CLOCK》も展示されます。そして6Fのスペースには、作家の祈 りと思いが込められた文字が展示されます。
*第8回ヒロシマ賞受賞記念 オノ・ヨーコ展 希望の路 展覧会図録 Vol.1 よりの引用に加えて一部を加筆