作品紹介
福永大介は、身近にありながら普段私たちが目にとめることのない、うらぶれた場所を描きます。それは、歴史を感じさせる廃墟などではなく、誰もそのクロニクルを知ることのない、また知ろうともしないような、取り残された場所です。
世界から孤絶した空間には、同じように誰からも忘れ去られた、いつからそこにあるのかわからないような物が並んでいます。使い古された掃除用具や、地面にとぐろを巻いた水道ホースなどが、生き物のようにうごめいています。私たちには解読不能の不可思議な思考をめぐらしているかのような彼らは、見慣れた物体であるにも関わらず、他の惑星から棲みついたエイリアンのようにも思えて来ます。
展覧会について
本展では、7 – 8点の新作ペインティングを展示致します。タイトルの” Local Emotion “とは、「町の片隅や、脇道にそれた時に広がる、一見荒廃した場(=Local)に群がるモノたちの、何か感情や人格を持っているような様子」であると作家は語ります。
使い途のない場所、忘れ去られた吹きだまりのような場所に放置された使い途のないものに想像力をかきたてられるという福永は、これまでも行き止まりのような謎めいた空間を描いてきました。身を寄せ合った人間のように壁に立てかけられたモップや、体育館の片隅に置かれた古ぼけた遊具は、私たちのいかなる感傷も拒絶するかのようにひっそりと、しかししたたかに、名付け得ぬ感情を持って息づいているかのようです。