【作品紹介】
桑原正彦の絵画作品は、現代社会に生きる私たちが普段見過ごしている世界の奇妙さを、軽妙にすくいとってみせます。
都市部の淀んだ水辺に生息する奇妙な動物、体の半分がハムになってしまった畸形の豚のような生物、その他名前すらつくことのない無数のキャラクター、或はチラシや雑誌広告に毎日のように掲載される、無名の女性モデルたち・・・これらは、全てのイメージが消費されていくこの世界において、いわば最も安価な場所にいるからこそ、悲哀を帯びた聖なる美しさを秘めています。現代の都市生活者が抱える空疎な孤独感が、時にユーモラスなモチーフでやわらかな色彩とともに描かれることによって、ある種の救済としてはたらいているかのようです。
【展覧会について】
本展では、2007年から2008年の新作ペインティング約20点を展示いたします。バレリーナや花嫁と動物たちが部屋の中で出会う、不思議な静物画のような作品をどうぞお楽しみ下さい。