【 作品紹介】
桑原正彦の絵画作品は、現代社会に生きる私たちが普段見過ごしている世界の奇妙さを、軽妙にすくいとってみせます。都市部の淀んだ水辺に生息する奇妙な動物、体の半分がハムになってしまった畸形の豚のような生物、その他名前すらつくことのない無数のキャラクター、或はチラシや雑誌広告に毎日のように掲載される、無名の女性モデルたち・・・これらは、全てのイメージが消費されていくこの世界において、いわば最も安価な場所にいるからこそ、悲哀を帯びた聖なる美しさを秘めています。現代の都市生活者が抱える空疎な孤独感が、時にユーモラスなモチーフでやわらかな色彩とともに描かれることによって、ある種の救済としてはたらいているかのようです。
【展覧会について】
本展では、2008年から2009年の新作ペインティングを展示いたします。モデルの女の子やその部屋でこっそり一緒に暮らしているような動物たちなどが、淡い色彩で描かれた空間の中にひっそりと息づいています。