国川広
Hiro Kunikawa

1992年埼玉県生まれ。2015年武蔵野美術大学油絵学科卒業、2017年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コースを修了し、同年「アートアワードトーキョー丸の内2017」で小山登美夫賞を受賞しました。その翌年には 8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryで個展「未分のレポート」を開催し、好評を博しましたが、2021年残念ながら他界いたしました。その繊細な若い才能が惜しまれてなりません。

彼の作品には裸の人物が描かれ、さまざまな場所で色々なポーズをとっています。 それは特定な人物でなく、性別や国籍も不明な抽象化された存在であり、漠然とした人の「気配や雰 囲気」です。
「裸にこだわるのは、人に対する興味からであり、目の前にいる人よりも、 単純に人の怖さ、不思議さに興味がある。 服を着てしまうと文化的なものが出てきて、『言葉やジャンル』が出てきてしまう それをこえた、とらえられないような、はっきりしたものの間にあるものを描きたい それが結果として裸となった」
(国川広コメント「渋谷のラジオ」2018 年より)

人物を最初に、その後背景を描く。人の形ができるとぼんやりと空間ができ、なんとなく線をひい て形ができてくる。
最初にイメージがあるわけでなく、感覚的に出てきた結果だと述べています。 また、国川にとって自分と現実、自分とモチーフの「距離感」も重要であり、その距離がいったいどれくらいなのか、距離のうつろいの心地よいところをさがしながら描いていました。 自分が絵を描き、生活するときに、今の時間と別の時間が流れ込んでくることがある 違うところのイメージが重なって存在しているような、どこか人の気配がまぎれこんでいるような、そんな遠いイメージ。ぼーっとしているとき、感覚的な状態になっているときの「名前のない状態」を探っていたといいます。

小山登美夫は「アートアワードトーキョー丸の内2017」の際、国川作品をこう評しています。
「人物画という一見、伝統的な主題をモチーフにしているようでいて、人が生きていく空間を描くことの 実験、確認が続けられている。主眼は人物でも風景でもない。そんな謎に富んだ作品を見て、モランディ をちょっと思い出す。境界線上に繰り広げられるとてもスリルに満ちた画面はとても魅力的です。」

個展

2023 小山登美夫ギャラリー天王洲、東京

2022 「国川広作品展」 宮代町立図書館展示ホール、埼玉
2018 「未分のレポート」 8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery、 東京

グループ展

2017 「アートアワードトーキョー丸の内2017」 行幸地下ギャラリー、東京
「Spring Fever」駒込倉庫、東京
2015 「ミゲル&ジュリアン&ローレンのグレー・ オブ・グレー展」Gallery NIW、東京

受賞歴

2017 「アートアワードトーキョー丸の内2017」 小山登美夫賞
武蔵野美術大学大学院修了制作展優秀賞
2016 三雲祥之助賞
2015 武蔵野美術大学卒業制作展優秀賞