藤田匠平展「壁のポッツ」8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery2016年10月12日[水]- 11月3日[木]

生物無生物茶碗  Living Things-Lifeless Things Tea Bowl 2016  ceramic h. 8.3 × φ 9.2 cm ©Shohei Fujita

藤田匠平展「壁のポッツ」

8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery
渋谷ヒカリエ8階
2016年10月12日(水)~ 11月 3日(木)
OPEN:11:00~20:00
展覧会期中無休
入場無料

オープニングレセプション:10月12日(水)18:00~20:00

http://www.hikarie8.com/artgallery/2016/10/shohei-fujita.shtml
 
 
藤田匠平作品の特徴でもある、すりガラスのような滑らかな手触りと艶やかな色味は、何層にも重ねた釉薬を長時間かけて削るという、独特の技法によって作り出されます。彩色、焼成を経て出来あがった作品を磨いてみなければ、最終的に浮かび上がる発色が分からないこともあるというこの技法は、長年における釉薬の重ね方や、色の組み合わせの実験により編みだされました。また、そのなめらかな質感や果実のような丸みを帯びたフォルムから石果(せっか)と名付けられた、小さな花瓶や壷のシリーズは、作家が制作の拠点を置く瀬戸内の海岸や河原に落ちている、波に削られて丸くなったぽってりとしたガラス片の触感などから着想を得ており、手の中で触りたくなるような美しい曲線を造り出しています。自分が美しいと思うものが「自然」に通じているという藤田が、特に好きだという海や川、湖といった水辺などの自然からインスパイアされる色味は、幻想的でありながら大地から出てきたような有機的なあたたかさも感じられ、地球を含む宇宙を想起させます。
本展覧会のタイトル「壁のポッツ」のポッツは、Potの複数系Potsであり、陶器そのものを意味します。私達は普段何気なく「使うもの」と「見るもの」に分けて陶器を購入したり鑑賞したりします。このインテリアと実用的なものの境界をさらに曖昧にし、「たとえば、ふと気付くとさっきまで絵画のように壁に掛けられていた皿に料理が盛られていたり、また、花瓶などは時として花も生けられる彫刻作品の様に捉えることも可能なのではないか」と藤田は言います。藤田の作品はテーブルの上にあったり、食器棚にあったり、または壁にかけられたりして、「使うもの」や「愛でて楽しむもの」の立場をその時々で変えたり、混在させたりしながら、日常の空間を満たします。私達の生活をやわらかく彩る「ポッツ」をぜひご堪能下さい。
 
藤田匠平は1968年和歌山県生まれ。1995年に京都市立芸術大学大学院美術研究科工芸専攻陶磁器を修了後、渡英。エディンバラ・カレッジ・オブ・アートにてガラス工芸を学び、1997年に同校を修了しました。現在は瀬戸内海の島に制作の拠点をおき、陶芸家の山野千里と、スナ・フジタのユニット名での制作も行なっています。東京、京都、大阪、三重など各地で個展を多数開催。小山登美夫ギャラリーでは2014年に開催以来、2年ぶり2度目の個展となります。