ディエゴ・シン

Yes No Thank You

Yes, 2010-2015  ©Diego Singh

ディエゴ・シンの作品は、衝突や、何か確立したものの中心がずらされていくような感覚を与えます。2006年から取り組んでいるデニムのシリーズでは、以前に展示されたペインティングがまるでデニムの騙し絵のように姿を変え、青、黒、白の絵の具で継ぎ目、ほつれ、穴が描かれます。そして本物のデニムがそうであるように、その裂け目の奥にあったものが見えてきます。それはまるでアーティストが「はい、いいえ、ありがとう」と言い続けているかのようで、否定しながらもある表現が提示されていき、またそこから別の物質性が立ち現れてきます。これらのペインティングがもつ終わりがないゲームのような感覚は、マルセル・デュシャンの最後のペインティング「Tu m’(お前は私を)」(1918年)に通じるものがありますが、「Tu m’」がペインティングという媒体から立ち去ることを目指したのに対し、シンは再度ペインティングへ入り直し、その実践を探求し直そうとしています。
本展ではこのデニムのシリーズの最新作を含めた15点ほどを展示いたします。

ディエゴ・シンはアルゼンチン生まれ。マイアミを拠点に制作、またマイアミとブエノスアイレスに拠点をもつキュレーション・プロジェクトである「Central Fine」を立ち上げました。本展は小山登美夫ギャラリーでは3度目の個展になります。デニムのシリーズやその他のテキスト、スクリブル(走り書き)などのシリーズは、「Table for One」(11年、小山登美夫ギャラリー)、「Unimodern Gondolieri」(12年、Various Small Fires、ロサンゼルス)、「Embarrassed by Loneliness」(12年、Mendes Wood、サンパウロ)、「Submarine Uploading」(12年、Annarumma、ナポリ)、「Locally Sourced」(15年、アメリカン大学美術館、ワシントンD.C.)、「Recent Acquisitions」(14年、ペレス・アート・ミュージアム・マイアミ)、「Prospects」(14年、サンディエゴ現代美術館)、「Le Ragioni della Pittura」(13年、La Fondazzione Malvina Menegaz、イタリア)などで展示されています。またシンの作品はサンディエゴ現代美術館、ペレス・アート・ミュージアム・マイアミ、 the De La Cruz Collection(マイアミ)などのパブリックコレクションとして収蔵されています。

作家プロフィール

ディエゴ・シン

ディエゴ・シンはアルゼンチン生まれ。ケネディー大学で社会コミュニケーション学を学んだ後、同大学院美術科を修了。2003年から04年にかけて、マイアミのMiami Light Projectにてキュレーターとして活動し、Visual Arts Programをディレクションしました。
主な展覧会に、マイアミのFredric Snizer Galleryでの個展、マイク・ケリーやワンゲチ・ムトゥ、ダグラス・ゴードンらと出展したグループ展「I Feel Mysterious Today」(パームビーチICA)、「Pinata Party」(Gavin Brown’s Enterprise、ニューヨーク)、「For all and no one」(ノースマイアミ現代美術館)、タル・Rやクリスチャン・ホルスタッド、ジョナサン・プラプチャック等と出展した「Hanging by a Thread」(ムーア・スペース、マイアミ)、「Think Warm」(小山登美夫ギャラリー)、「Drawn In Drawn Out」(フロリダ・アトランティック大学)などがあります。
ディエゴの作品はキュレーターのドミニク・モロンによって以下のように評されています。「自画像としても機能している想像的別世界を作り出し、芸術の伝統が持つ可能性をラディカルに押し広げつつあるー作品は鑑賞者を作家の自己神話的な策略へと誘い込み、現実に構築されたセルフアイデンティティーと、架空の魔法とを隔てる境界はこの上なくアンヴィバレントである。」
アルゼンチン生まれ
1999 BA, Comunicaciones Sociales, Unversidad Kennedy、アルゼンチン
2000 MA, Direccion de Arte Asociacion Argentina de Agencias de Publicidad (AAAP)、ブエノスアイレス、アルゼンチン
Art History Kennedy Universy、アルゼンチン