The BAR Vol.10 The Backers Foundation and AIT Residence ProgrammeShaping Voices, Silent Skies

主催: NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]
共催: バッカーズ・ファンデーション
協力: 8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery、株式会社 ポンテヴェキオ ホッタ

8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryでは、ミティ・ルアンクリタヤー(タイ)とサラ・アブ アブダラ(サウジアラビア)による新作展を開催します。

バッカーズ・ファンデーションとNPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]は、7月1日(土)から7月17日(月・祝)まで「Shaping Voices, Silent Skies」展を8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryにて開催します。本展は、海外のアーティストを東京に招へいするアーティスト・イン・レジデンス・プログラム(The BAR)の10回目の成果展となり、本年はタイ出身のミティ・ルアンクリタヤーと、サウジアラビア出身のサラ・アブ アブダラが、日本未発表の作品に加え、東京で制作した新作を披露します。 ミティ・ルアンクリタヤーは、バンコクを拠点に創作活動をしています。主に写真やインターネット上のイメージを用いて、タイで近年みられる急激な都市開発による環境の変化、また、そこに集う人々の姿と欲望、喧騒と静寂など、都市が見せるさまざまな表情に着目しています。代表的なシリーズのひとつである《Imagining Flood》(2011)は、バンコクが洪水による被害を受けた日の、暗く静粛な人間不在の都市を切り取ることで、幻想的な都市の異相と自然への畏怖を際立たせています。 近年、シャルジャ・ビエンナーレ11(2013)などの国際展でも注目されるサウジアラビア出身のサラ・アブ アブダラは、絵画的な思考を取り入れながら、映像作品を中心に表現活動を行う若手アーティストです。映像作品《SAUDI AUTOMOBILE》(2012)には、アブ アブダラが、遺棄された車に無言のまま薄いピンクの塗料を施していく姿が映し出されています。「この切望的な行為のみが、私が車を所有できる唯一の方法なのです」と彼女が言うように、作品からは、女性が車を運転することが禁止されている同国の性規範への一つの眼差しが表現されています。 ふたりに共通するのは、グローバル化する都市や社会が作り出す幻想と、そこから取り残されて行く存在に触れながら、衝突ではなく静かな批判制を内包した表現ということでしょう。彼らの作品からは、私たちが生きる社会状況を映しつつも、政治性やジェンダーのステレオタイプに集約されることを意識的に避けようとする態度が見えます。 本展では、日本未発表の作品に加え、ルアンクリタヤーはバンコクにおける都市開発と東京、特に開発が進む渋谷の現在の姿を重ね合わせ、その裏に潜む環境汚染への危惧感にも言及します。アブ アブダラは、彼女がサウジアラビアで見ていた日本のアニメーションや漫画から構想した新作を発表します。3ヶ月の滞在で、ふたりが都市の囁きをどのように掬い取るのか、新作にご期待ください。 テキスト:堀内奈穂子[AIT/エイト]

ミティ・ルアンクリタヤー(1981年バンコク生まれ。バンコク在住)ルアンクリタヤーは、タイのバンコクを拠点に写真やテキストなどを用いて創作活動を行っています。その作品は、ルアンクリタヤー自身の周辺にみられる問題を軸にしながら、特に都市におけるさまざまな環境や人びとと、その変化や進歩などを扱っています。http://www.a-i-t.net/ja/residency/2017/05/miti.php

サラ・アブ アブダラ(1990年生まれ。サウジアラビア・カティーフ在住)サウジアラビアの東部にある都市、カティーフを中心に国内外でアーティスト活動を行っています。ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(アメリカ・ロードアイランド州)にてデジタル・メディアを学び、シャルジャ大学(アラブ首長国連邦)でアート・デザインを学びました。現在は、映像やインスタレーション、詩、イメージなどのあらゆるメディアを扱いながら、サウジアラビアの社会に内在する問題を浮き上がらせるような作品を制作しています。http://www.a-i-t.net/ja/residency/2017/05/Sarah.php