川島秀明

「mutability」

Installation view at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, Japan, 2005 ©Hideaki Kawashima

【作品紹介】

川島秀明は大学卒業後、1995年より2年間比叡山延暦寺にて天台宗の仏道修行を経験しました。
三島由紀夫などを題材にした在学中の硬質な作風は、ややコミカルな仏陀や少年少女たち、やがてより軽やかな「ポートレート」へとその姿を変えていきます。もはや男女の区別すらなく、表情だけが抽出されて何者かに憑依しているようなモチーフを、作家は「自画像を描くような気持ちで」描きつつづけています。
抽象的な背景の中に浮かぶ様々な顔は、時には少女、時には少年、妖精、或いは風船のように膨らんだ見知らぬ生き物のように見えます。淡色の繊細なグラデーションでフラットに塗られた肌や毛髪とは対照的に、ガラス玉のように澄んだ瞳には、光が乱反射しているかのような細かな線がびっしりと描き込まれ、生々しい迫力に満ちています。

【展覧会について】

絵を描くことの動機について、川島は「漠然とした不安に対する自己確認の作業」と位置づけています。誰しもに覚えのある心もとない気持ち、例えば夜の電車の窓に映る自分を見ている時のような(作家談)今ここにいるはずの自分というものの不確かさに、川島は静謐な視線で向き合い、創作へと昇華させていきます。
『mutability(うつろいやすさ)』と題された本展は、1つのスタイルに行き着いた彼の集大成というよりはむしろ、刻々と移り変わっていく時と共に変化を遂げる、彼自身の日々の営みであるのかもしれません。

2年ぶりの今回の個展では、全て新作のペインティングを展示いたします。また、銀座のTKG2 at lammfrommでは、川島の初の版画作品3点(各エディション25)を展示、販売致します。是非2ヶ所併せてご高覧下さい。

作家プロフィール

川島秀明

川島秀明は1969年愛知県生まれ。1991年東京造形大学卒業後、1995年から2年間比叡山延暦寺での仏道修行などを経て、2001年アーティストとしての制作活動を開始しました。活動初期より川島は一貫して自意識と向き合い、顔、そしてそこに現われる繊細で複雑な感情を描き続けてきました。川島作品を観る者は、うっすら塗られた色のグラデーションの巧緻さと、時に強く、時に憂いを帯びた魅惑的な眼や表情に引き込まれ、自分とどこか繋がる部分があるような、心揺さぶられる感情を覚えるでしょう。
今までに国内外で多数の展覧会に出展しており、主な個展に「youth」(小山登美夫ギャラリー、2018年)、
「Back and Forth」(Richard Heller Gallery、アメリカ、2014年)、 「Wandering」(Kukje Gallery、韓国、2009年)があり、主なグループ展に、「Japanese Experience Inevitable」(ザルツブルグ近代美術館、オーストリア、2004年)、「ライフ」(水戸芸術館、2006年)、「アイドル!」(横浜美術館、2006年)、「Little Boy」(村上隆キュレイション、ジャパン・ソサエティー、ニューヨーク、2006年)があります。

1969年 愛知県生まれ
1991年 東京造形大学卒業