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昨年、「ART DEMOCRACY INCLUSIVE ART FEST 2021」 の審査員を杉本さんに頼まれた時、そこにあったかつのぶさんの作品に初めて出会いました。その透明感と、作品としての完成度、シンプルながら色々なものを内包していそうな作品の姿に圧倒されました。そしてこの人はどのように作品を作るのか興味がわき、個展をしたいと思い、今回の展覧会が実現しました。アウトサイダーアートの括りなどは私にはよくわからないし、そこはあまり考えず作品で見てもらえたらと思ってます。
小山登美夫
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この度小山登美夫ギャラリー天王洲では、かつのぶ展を開催いたします。
本展は作家にとって当ギャラリーにおける初めての展覧会となり、2015年~2022年制作の作品を発表いたします。
かつのぶは1992年大阪府生まれ。中学2年生、14歳で美術教室に通い油絵を始めて以降、約15年にもわたり作品制作を続けています。現在までに多くの展覧会・アートフェアに出展、2021年にはART DEMOCRACY INCLUSIVE ART FEST 2021ではグランプリを受賞しました。
彼の作品は、グリーン、イエロー、ピンク、ブルーといった鮮やかな色彩を、幾重にも塗り重ねたミニマルアートのような抽象画です。当初はグリッドで描いていたものが、近年は先に塗った面の上部を線として残しながら、次々と面を塗っていくボーダー状にゆっくりと変化してきました。
丹念な塗りで生み出される流麗な線、色面やエッジに重なって少し盛り上がった絵の具の物質感などにより、独特な人の手による感覚や温かみ、見る角度によって光を感じさせる不思議な魅力を放っています。
キュレーター、アーティストの中津川 浩章氏は、かつのぶと彼の作品に対して次のように述べています。
「(彼の所属するライプハウス代表の大澤辰男さんによれば、)黄色とブルーを混ぜて緑色を作って見せたところ、びっくりしてしばらくその絵の具をじっと見つめていたそう。それからパレットに絵具を出し4ヶ月間それを見続け、そしておもむろに緑色をつくったと。
色と色を混ぜることで全く違う色ができる、それを知ること。色をつくり、自分の色で面を塗っていくことで、自身の世界を主体的に表現できるようになっていく。描き方や絵画の正解を教えるのでなく、可能性を引き出すためのファシリテートがアートにとっていかに大切かを思います。」
(NHK厚生文化事業団メールマガジン「ハーツ・レター」)
かつのぶは自身の理想とする色の風景に出会うために、毎日丁寧に色の調合を行い、絵の具の塗りを進めます。複数点を同時並行して制作していますが、1点が完成までに約1年近くかかる長い道のりだと言います。
色の果てしない可能性に魅入られ、真摯に制作に向き合い続けるかつのぶ。彼独自の作品世界をご覧に、ぜひお越しください。
【かつのぶ】
1992年生まれ。2006年中学生(14歳)の時に美術教室に通いはじめたのをきっかけに、10年以上ライプハウス(東大阪市)にて制作活動を続けている。
2015年頃までは矩形が重なり合ったマチエールの美しい抽象画を制作。近年は、絵の具の積層が独特なボーダー(単純に横に引かれた線ではなく、無数の起筆の連なりによって形成されている)の作品を制作している。独自のルールに即して絵の具が塗り重ねられた作品は、平面性、物質性、重力、行為の連続、時間軸など、モダニズム表現の基本要素を有しながら、それらをするりと抜けた、唯一無二の抽象絵画である。
略歴はこちらからご覧いただけます。
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Tel: 03-6459-4030 (小山登美夫ギャラリー オフィス)
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(プレス担当:岡戸麻希子)
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