ヴァルダ・カイヴァーノ

In the Studio

Installation view from “In the Studio” at Tomio Koyama Gallery, 2013 ©Varda Caivano

【作品紹介】
ヴァルダ・カイヴァーノの作品は、絵画、そして抽象という絵画の言語の可能性を追求するものです。彼女の比較的小さい作品は、色、空間、線、トーン、素材や筆触、奥行きや密度といった要素の選択と組み合わせについての実験、観察、熟考、発見、そして決断というプロセスの結果により生まれます。この注意深く、かつ自然発生的な旅が、ひとつひとつの作品そのものとなっているのです。彼女の作品は風景を想起させ、またそこには過去一世紀半の美術史の痕跡をみることができますが、「これまでに作られた、既に存在しているイメージを描いているのではなく、純粋に絵画を追求する絵画であり」、稀少な真の抽象画である、と批評家バリー・シュワブスキーは述べています(Art Forum 297頁、2011年5月)。
カイヴァーノは同時に複数の作品の制作に取り組みます。絵具を塗り重ねキャンバスの上を走らせる中で、彼女の思考やモノローグはペインティング自身が発し始める声や会話と重なり合っていきます。この関係性が育つまでのある一定の時間を経て、ひとつの作品は完成します。またこの関係性は展示スペースでも継続し、広がり続けます。2009年に小山登美夫ギャラリー京都で開催された個展では、1枚の壁に5点の作品が並べて展示され、それらのペインティングはあたかも即興音楽を演奏しているかのようでした。鑑賞する度ごとに出会うことのできる新鮮で親密な感覚。それはアートを経験することにおける最たる喜びといえるでしょう。

【展覧会について】
批評家のバリー・シュワブスキーは、2011年にVictoria Miro Galleryで開催されたカイヴァーノの個展について、「この展覧会”Voice”において、カイヴァーノはロンドンで最も将来を約束された若手ペインターから、年齢、地域に関わらず、現在最も優れたペインターのうちの1人へと変身を遂げた。」(Art Forum 297頁、2011年5月)と述べました。
その後も彼女は国際的に作品を発表し続け、現在は第55回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の企画展「エンサイクロペディック・パレス(The Encyclopedic Palace)」に出品しています。
「In the Studio」と題された今回の展覧会は、その後に初めて開催される個展であり、新作のペインティングや初めての発表となるドローイングも出品されます。

  • Installation view from "In the Studio" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, Japan, 2013 ©Varda Caivano
  • Installation view from "In the Studio" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, Japan, 2013 ©Varda Caivano
  • Installation view from "In the Studio" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, Japan, 2013 ©Varda Caivano
  • Installation view from "In the Studio" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, Japan, 2013 ©Varda Caivano
  • Installation view from "In the Studio" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, Japan, 2013 ©Varda Caivano
  • Untitled 2013 acrylic and charcoal on canvas 112.5 × 158.5 cm ©Varda Caivano
  • Untitled 2013, acrylic on canvas 95. 5 x 147.5 cm ©Varda Caivano
  • Untitled 2013 acrylic on canvas 131.0 × 39.5 cm ©Varda Caivano
  • Untitled 2013 oil on canvas 98.0 × 57.5 cm ©Varda Caivano