この度小山登美夫ギャラリー天王洲では、風能奈々展「このために生まれた」を開催し、新たな展開を見せる新作ペインティングを発表いたします。
【風能奈々、および作品に関して
ー愛しい存在との時間が生んだ作品の遷移】
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「すぎゆく時間と愛するものの死と、生きている不思議と死んでいる不思議。この世界を透明な目で見続けること。そしてもちろん絵を描いていくこと。このために生まれました。」
風能奈々
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風能は自らの生活での体験や感覚、感情を、新たな物語世界に昇華させるように緻密に大胆に作品に展開します。
繊細な筆致で高い密度のマチエールを絡み合わせた画面は、まるで磁器や彫金を思わせるかのような光沢と、刺繍や織物のような重層感があり、それがアクリル絵具のみで生み出されていることに驚きを覚えるでしょう。
活動初期は、少女や動物、おまじないの道具などをモチーフに、幼い頃愛した想像や物語、家族との思い出を「ひとりの世界に潜り、閉じこもる」ための内向的な表現として描いてきました。
それが前回の2019年の個展では、「鍵」を題材に世界が開かれる描写に至った、大きな心境の変化を表わすようになりました。
そして今回、今までのモノトーンの色調でモチーフをゆっくり深く重ねるやり方から変容を遂げます。
黄、青、緑などの色を大胆に試し、ひとつの絵を呼び水に次の絵のイメージが湧くなど、感覚にダイレクトに夢中に絵を描く喜びに立ち返ったのです。
それは、新しい家族ができ、子供が誕生し、猫が亡くなり、愛する存在との日々とその過ぎた時間さえもいとおしい、ささいな日常の美しさが風能に新たな視野と大きな変化をもたらしたといえるでしょう。
「息子が太陽は透明の色をしている、って言ってて、先入観も既成概念もない状態でみる世界というのを感じられて嬉しい。自分まで広がっていく感じがする」
「死んだ猫にも0歳の息子にももう会えない。日々のくだらないことと美しいことと馬鹿馬鹿しいこと。このために生まれた。」(風能奈々Xより)
【本展、出展作に関して
ー日常のきらめき、自然、みずみずしい言葉から生まれた新たな物語世界ー】
「川根本町で見た星」は、去年の夏から秋にかけて友人家族が帰省した、美しい星空で有名な静岡県川根本町で過ごした時間、景色、想いが描かれています。
一緒に遊んで、夜には流れ星に歓声をあげる奇跡のような楽しい日々。山々は折り重なり、茶畑はこんもりと可愛らしく、心に染み込んだ特別な夏の記憶が作品となりました。
「きれいなドアを見つける」は、そんな夏、友人の娘たちが折り紙の占いを作って書いた言葉であり、なんて美しいのかと感動したことに端を発します。
このシリーズは、組作品の構成が独特ですが、それはかつて風能が毎日描いていたドローイングのノート1ページ分や見開きページと同じサイズとなっています。その馴染んだサイズのおかげでいくらでも描けるという開放感、まるで本のページをめくり、きれいなドアを開けるような心躍る展開が見えるようです。
モチーフは庭の草木から、日記のようなとりとめのない日々の美しさがもとになっており、散文のようなものだといいます。
純粋な存在が発する、思いもよらないみずみずしい言葉たち。まばゆい自然。生命の循環。世界の日常のきらめきへの気づきと喜びを描く風能の作品は時空間を超えた物語世界を奏で続け、私たちの記憶や想像力をかきたてるでしょう。風能の新作をご覧にぜひお越しください。
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プレスに関するお問い合わせ先
Email: press@tomiokoyamagallery.com
Tel: 03-6459-4030 (小山登美夫ギャラリー オフィス)
(プレス担当:岡戸麻希子)
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