この度小山登美夫ギャラリーでは、オランダを代表する写真家・アーティストのシャルロット・デュマ個展「Ao 青」を六本木、天王洲の2箇所で同時開催いたします。馬や救助犬など、人間に密接な動物を20年以上にもわたり映し出してきたデュマ。現代社会における動物と人との共存、生の儚さの美しい瞬間をとらえた彼女の作品は、世界中で高い評価を得ています。
日本には度々訪れており、2014年より日本の在来馬を撮影するプロジェクトをスタート。2020年銀座メゾンエルメスフォーラムで開催された「『ペゾアール(結石)』シャルロット・デュマ展」では、写真・映像、オブジェ、藍染の布のインスタレーションと、空間全体で体感できる瑞々しい作品世界が大きな話題を呼びました。
弊廊では2018年に初めて5日間のみの展示以来、2度目の個展となります。
アーティスト情報、および前回の個展についてはこちらをご覧ください
https://www.charlottedumas.nl/
https://tomiokoyamagallery.com/exhibitions/charlottedumas2018/
【本展「Ao 青」、および出展作品ついて】
六本木では日本で初公開となる「Ao 青」の写真作品(2016~2021年)と新作のインクドローイングを発表。天王洲では最新作となる「Ao 青」(2022年)の映像作品を上映いたします。
「Ao 青」は、2015年から与那国島や沖縄の在来種の馬、そしてその情景と少女たちを撮り続けた作品シリーズです。(新型コロナのため来日できなかった時期にブルターニュ地方で撮影したものも含む)
18世紀の与那国島では、人口減のために妊娠中の女性が岩の裂け目を飛び越えさせられたという悲しい歴史、神話がありました。
現在では島の人口は減少し、空き家も増えていますが、小さく痩せた在来馬は、そこに野放しで海岸を歩き回り、島に一生いることになります。
デュマは撮影を続けるうちに、土地自体に愛着やさまざまな感情、島を取り巻く霊的な強さも感じるようになったと言います。
自由なようで、孤独にも見える馬たちと、馬に寄り添い、海岸にたたずみ、踊る少女。
デュマは「子供と動物の共通点は、100%今を生きていること」だといい、自然の力そのもののような少女が「目」となり、この島を描き出しているかのようです。
「Ao 青」は銀座メゾンエルメスフォーラムでも上映された「SHIO 潮」(2018年)、「Yorishiro 依代」(2020年)の映像3部作の完結編となり、そこで登場した少女が成長している時の流れも感じられます。
【「いかに私たち人間は単独では生きられないか」- 動物を見つめることで見える、人間の存在性】
沖縄、与那国島でのプロジェクトは、テキスタイル・アーティストのキッタユウコ氏などクリエイティブな出会いにより、他の作家とのコラボレーションが生まれ、デュマの作品世界に不思議な流動性が生み出されるきっかけにもなりました。
「動物は神話に登場したり神格化されることもあれば、労働力など実用として使われてきた事実もある。歴史の中で変化する関係性も含めて、動物を見つめることは、人間を見つめることなのだと思っています。」
(「『マイ・ゼロ・ストーリー』第8回シャルロット・デュマ、花椿、2022年)
いかに私たち人間は単独では生きられないか。時間の流れと、他者とのつながりを経験する瞬間に生まれたような美しい情景の本展。
この貴重な機会にぜひお越しください。
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(プレス担当:岡戸麻希子)
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