伊藤 彩

TKG Projects #2 伊藤彩

【作品紹介】

伊藤 彩の作品にはゾンビやお化け、そして「ケツの穴」などの「エロティックではない、ガキみたいな下ネタ」のモチーフが登場します。鑑賞者はまず驚き、笑い、そして彼女が思いつくまま奔放にこれらを描いているのかと考えるかもしれません。しかし独特の空間性をもつ伊藤の作品は、様々なプロセスを経て構成されているのです。彼女は作品ごとにマケットを作り、写真を何枚も撮りながら視覚的効果を検討したのち、ペインティングを制作します。「日々の経験に妄想や空想を加えたもの」を動員しながら進行するこのプロセスのなかで起こる偶然性、それを伊藤はある種の濃密なリアリティへと変換させます。「ゾンビも現実の一部となって、同じ世界に住んでいるような立場にしたい」。物語性が無く、あったとしても無意味であるという彼女の作品のもつリアリティは、鑑賞者の意識を取り込み、異化するように思えます。
伊藤は「イメージよりも写実、そして単なる写実よりもコラージュに惹かれた」と言います。ペインティングだけでなく、立体、インスタレーション、写真といった様々な要素を縦横に使うことで、伊藤は独自のリアリティにアプローチします。

【展覧会について】

本展は、若手アーティストの作品を紹介する「TKG Projects」の第2回目の展覧会です。
本展のテーマは、「妄想くんのひとり部屋」。思春期の男子のひとり部屋をペインティング、立体を含めたインスタレーションで展開します。この少年は一体何を考えているのでしょうか。是非会場にてご高覧下さい。