藤田匠平

「ニシキ」

ヨウム / African Grey Parrot, 2013  ©Shohei Fujita

藤田匠平の本展覧会のタイトルは「ニシキ」。錦のように緻密で豊かな色合いをもつ彼の陶器は、主にふたつの技法から成り立っています。ひとつは、すりガラスのような手触りと、まるで水に落とした絵の具が広がって溶けていくような、やわらかな色合いのまだら模様が特徴の作品です。これは、何層にも重ねた釉薬を長時間かけて削るという、独特の技法によって作り出されています。蓋付きの小瓶など、作品は器としての機能を備えながら、どこか幻想的で抽象的な雰囲気をもちます。もうひとつは、赤絵の点描で模様を描いた作品。まるで銅版画のような硬質の点描を施された、鳥やコイ、ヘビは、神秘的な趣きです。今回の展覧会では、このふたつの手法による作品と、技法的にも新たに取り組む作品を展示予定です。
藤田匠平は1968年和歌山県生まれ。1995年に京都市立芸術大学大学院美術研究科工芸専攻陶磁器修了、1997年にEdinburgh College of Art 修了。現在は瀬戸内海の島に制作の拠点をおき、山野千里と、スナ・フジタのユニット名での制作も行なっています。