福永大介

「福永大介展」

neighbourhood garden 2006 oil on canvas 227.5 × 227.5 cm ©Daisuke Fukunaga

作品紹介

福永大介の描く絵画の中では、しばしば人工物と自然とが奇妙な形で寄り添っています。GEISAI#9で発表された作品『廃棄場』では、うらぶれたとある空き地の片隅に、様々なものが打ち捨てられています。マウスパッドや射的の的、車、傘など、それらは日常で目にしているものばかりですが、偶然ただの廃棄物として集まったようには思えません。
ぼろぼろに裂けたシートからのぞく大型車はなぜか新品同様で今にも発車できそうですし、水槽の中に置かれたフクロウの置物には開いた傘が立てかけられ、置物が自分で傘をさしているかのようです。画面中央にある木の枝先には、蛍光色の火星人の人形が首を吊っています。奥にはけばけばしい黄色の屋根の、遊園地の建物のような小屋があり、更に背後のフェンスの奥には、送電塔と黒々とした杉林が見えます。ここでは地続きにある日常とは全く違う磁場が生じ、廃棄物たちは何者かの意思によって、不気味なサーカスを演じようとしているかのようです。

The garden made by ordinary people artist, 2005 oil on canvas, 194.0 x 194.0cm, ©Daisuke Fukunaga
The garden made by ordinary people artist, 2005
oil on canvas, 194.0 x 194.0cm, ©Daisuke Fukunaga
scrap, 2006 oil on canvas, 130.3 x 162.0cm, ©Daisuke Fukunaga
scrap, 2006
oil on canvas, 130.3 x 162.0cm, ©Daisuke Fukunaga
LEISURE LAND, 2006 oil on canvas, 41.0 x 31.8cm, ©Daisuke Fukunaga
LEISURE LAND, 2006
oil on canvas, 41.0 x 31.8cm, ©Daisuke Fukunaga

展覧会について

今回出展される『neighborhood garden』では、古ぼけた家の庭先にやはり様々なものが放置されています。木箱やホース、犬小屋や便器などは有機的なエネルギーを帯び始め、この奇妙な庭の風景に溶け込んでいます。反対に、植えられた植物や池の中の鯉、パンジー、蜂の巣、石などは、人の手を介していないものであるにも関わらず、まるで人間のような意思を持ちながら、息を潜めているように思えます。
背後の家の屋根には瓦が鱗のように覆いかぶさり、閉じられたドアと窓の奥を伺い知る事はできません。奇岩の上に置かれたミラーは、どこか別の世界にいる人物を映していますが、恰も1つの宇宙として存在しているこの家の、天眼鏡として機能しているかのようです。
「イメージのイリュージョンを繰り広げることによって、見ている人の頭がおかしくなるくらい、突き抜けてみたい」と語る福永は、私たちが想像をはばたかせる装置を、確信的に操作すべく絵筆をとります。
本展では、新作ペインティングとドローイングが出展される予定です。

  • Installation view from "Daisuke Fukunaga" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, Japan, 2006 ©Daisuke Fukunaga
  • Installation view from "Daisuke Fukunaga" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, Japan, 2006 ©Daisuke Fukunaga