大野智史

「予言者」PROPHET

「PROPHET」 – PRIMEVAL FOREST AS MATERNAL, 2009 oil and spray on canvas, 360.0 x 810.0 x 6.2cm, ©Satoshi Ohno

作品紹介

大野智史の作品には、自然と人工との融合、閉塞した空気感、一方で自然界とどこかでつながっている自分が新たに捉え直す空間の感覚などのテーマが垣間見られます。2004年に参加した鹿児島県、甑島アートプロジェクトでは亜熱帯の島で実際に生活し、その後も北海道の原生林やカリブ海のケイマン諸島、ハワイなどを展示で訪れた大野は、活動拠点を富士吉田へと移し、自分の思念の中の原生林を空間に再現するかのように、絵画作品と立体、写真、床に広がる砂絵などを組み合わせたインスタレーションを続けて来ました。そこには自分をとりまく深い自然への、呪術的なまでの回帰の感覚が、色濃く反映されています。
昨年、横浜のZAIMで行われた「THE ECHO」展では、「自画像という極めて個人的なテーマが女性の子宮の世界観を取り込み、原生林のひとつの大きな母体にまでつながる」(作家談)展示を試みました。繰り返し登場する自画像はもはや男女の性別を越えて両性具有であり、所々に見られる球体の発光源(プリズム)が、森の中に迷い込んだ観客を導くかのように輝き、そこにはまさに大きな母体の胎内に広がる、子宮としての森が現れたかのようでした。

MATERNAL PRISM, 2009 acrylic on camvas 270.0 x 480.0 x 3.5cm ©Satoshi Ohno
MATERNAL PRISM, 2009
acrylic on camvas
270.0 x 480.0 x 3.5cm
©Satoshi Ohno
PROPHET, 2009 oil and spray on canvas, 250.5 x 220.5cm, ©Satoshi Ohno
PROPHET, 2009 oil and spray on canvas, 250.5 x 220.5cm, ©Satoshi Ohno

展覧会について

「原生林という生命の原初的な場所をひとつの大きな母体とし、森全体の総体を子宮のようなものとして考える。巨大な倒木は男性の象徴として横たわっている。その倒木は『予言者』に導かれながら森の中をオレンジの光に向かって進んでいく。オレンジの光とは、肉体の光であり、母性の光である。」(作家談)
本展では、ギャラリーの2フロアを使って、高さ5m近くの巨大なペインティングなど、大規模な展示を予定しています。どうぞこの機会にご高覧下さい。

  • Installation view from "PROPHET" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, Japan, 2009 ©Satoshi Ohno
  • *8 installation view from [PROPHET] at Tomio Koyama Gallery, 2009 ©Satoshi Ohno