リチャード・タトル

版画展

L to R:Type:O, 2004 / Type:R, 2004  ©Richard Tutle

― ビジュアル・ポエトリー

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現代において最も重要なアーティストのひとりであるリチャード・タトルは、1960年半ばから 現在に至るまで、半世紀にわたるその長いキャリアにおいて、彫刻、ペインティング、ドローイング、コラージュ、インスタレーション、そして詩や出版物など、分類すら飛び越えた作品群を発表し続けてきました。その作品に共通しているのは、何にも規定されない自律性と独立性です。作品自体のもつライン、フォルム、質感、色、ボリュームが構築するのは 、 既存の表象・認識システムの外にある、いきいきとして詩的な視覚言語であり、その空間的な展開による豊かな知覚的効果です。使われているのはきわめてありふれた、あるいは壊れやすい紙や木片、ワイヤーや金属片などの素材ですが、それが直截でありはかなげであればあるほど、作品はより驚きに満ちあふれるようです。

抽象表現主義の著名アーティストたちを輩出し、当時最も重要なギャラリーであったニューヨークの Betty Parsons Gallery でタトルは 1965年に初個展を開催。以降も壁に張ったワイヤーとその影、ドローイングの線で構成される「Wire Pieces」など、現代美術の歴史に残る作品を発表し、ポスト・ミニマリスト世代を代表するアーティストとして、次世代に大きな影響を与えてきました。

リチャード・タトルは 2014年秋から「I Don’t Know. The Weave of Textile Language」と題された重要な展覧会を、ロンドンで開催しています。テート・モダンのTurbine Hallでは、彼がデザインしインドで制作した布を使用した、巨大なコミッションの彫刻作品を 2015年4月6日まで、Whitechapel Gallery では1967年から2014年まで約50年にわたる仕事の中から、テキスタイルにフォーカスした展覧会を 2014年12月14日まで開催。70年代にニューヨークの批評家に衝撃を与えた3インチのロープを壁に打ち付けた作品「Rope Piece」や、上述の「Wire Pieces」から、新作までを概観する内容です。

本展ではこの Whitechapel Gallery に展示されている版画シリーズ「Type」を中心とした作品を展示いたします。タトルは版画の道具、素材、行為、コラボレーションに深い関心をもち、その長いキャリアで多数の版画作品を発表してきました。その一部を紹介する本展を是非ご高覧下さい。



リチャード・タトルは 1941年アメリカ、ニュージャージー州ローウェイ生まれ。1963年、ハートフォードのトリニティー大学卒業。ニューヨークおよびニューメキシコにて制作活動を行っています。日本では2010年に公開された、実在する現代アートコレクター、ヴォーゲル夫妻を取材したドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』(監督:佐々木芽生)にも出演しました。主な美術館での個展に1975年のホイットニー美術館での個展、「Richard Tuttle: Perceived Obstacles」(Stiftung Schleswig-Holsteinische Landesmuseum、ドイツ、他2カ所へ巡回、2000-2001)、大規模な回顧展である「The Art of Richard Tuttle」(サンフランシスコ近代美術館、ホイットニー美術館、シカゴ現代美術館、他3カ所へ巡回、2005-2007)などがあります。またベネチア・ビエンナーレ (1976、1997、2001)、ドクメンタ(1972、1977、1982)、ホイットニー・ビエンナーレ (1977、1987、2000) など、重要な国際 展にも数多く参加してきました。作品はニューヨーク近代美術館、テート・モダン、ポンピドゥー・センターなどを始めとする数多くの美術館等に収蔵されています。

作家プロフィール

リチャード・タトル

リチャード・タトルは1941年アメリカ、ニュージャージー州生まれ。ニューヨークとニューメキシコを拠点に活動しています。ハートフォードのトリニティ・カレッジで哲学と文学を学び、1963年に卒業。1965年24歳の時にニューヨークのベティ・パーソンズギャラリーで初個展を行い、1975年34歳の時、ホイットニー美術館で個展を開催。その展示は反響を呼び、様々な物議を醸しました。国際展では、ヴェネツィア・ビエンナーレ(1976年、1997年,2001年)、ドクメンタ(1972年、1977年、1987年)、ミュンスター彫刻プロジェクト(1987年)、またホイットニー・ビエンナーレにも3回(1977年、1987年、2000年)参加しています。

このようにリチャードタトルは、ポスト・ミニマリズムの代表的なアーティストというだけでなく、そのカテゴリーや時代、ジャンルを超えて、常にアートシーンを刺激し、活躍してきたアーティストといえるでしょう。日本では、世界屈指のアートコレクター ヴォーゲル夫妻のドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー』(佐々木芽生監督)に、作品とともに登場したことでも広く知られています。

最近の主な展覧会として、2005年から2007年までサンフランシスコ近代美術館、ホイットニー美術館他アメリカ国内を巡回した大回顧展「The Art of Richard Tuttle」、また、2014年ロンドンのテート・モダンとホワイトチャペルギャラリーで同時開催した個展「I Don’t Know, Or The Weave of Textile Language」において、布を使用した巨大な彫刻作品をテート・モダンのTurbine Hallに展示し大きな反響を呼びました。作品はニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館ほかアメリカの主要な美術館、ステデリック美術館(オランダ)、テート・モダン(イギリス)、ポンピドゥー・センター(フランス)、ルードヴィヒ美術館(ドイツ)など、世界の数多くの美術館に所蔵されています。日本では国立国際美術館(大阪)がコレクションしています。

1941 Born in Rahway, NJ
1963 B.A. Trinity College,Hartford, CT
Lives and works in New York and New Mexico, USA

  • Installation view "Prints" at 8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2015 ©Richard Tuttle photo by Kenji Takahashi
  • Installation view "Prints" at 8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2015 ©Richard Tuttle photo by Kenji Takahashi
  • Installation view "Prints" at 8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2015 ©Richard Tuttle photo by Kenji Takahashi
  • Installation view "Prints" at 8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2015 ©Richard Tuttle photo by Kenji Takahashi
  • Installation view "Prints" at 8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2015 ©Richard Tuttle photo by Kenji Takahashi